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6月12日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 549字|2006.6.12|社会 (society)|ハロハロ ]

 「治安が悪く、危険な国」。これが日本人の平均的なフィリピン観であるのは承知していた。だが、過日帰国してみて、それがすっかり定着しているのを思い知らされた。「怖いめに遭ったことはないのですか」。久しぶりに会った友人や知人は誰もが決まって同じ問い掛けをする。タイ、マレーシア、シンガポールなど他の東南アジアの国から戻った人に同じことを尋ねるだろうか。

 マニラ暮らしを終えて帰国した、ある駐在員夫人が苦笑いをした。旧友にあいさつをすると、「ご苦労さま。大変だったでしょう。とにかくご無事で何より」と慰めの言葉で迎えられたそうだ。「メードがいて家事から解放され、外出には運転手が……」と、マニラ暮らしを説明しようとすると、「私たちは高校時代からの仲じゃないの。無理しなくっていいのよ」。

フィリピンは安全な国とは言い切れない。邦人絡みの事件も起きる。だが、そうした「負」の事件が新聞テレビで大きく取り上げられる。「怖い国フィリピン」という先入観を日本人に与えてきたマスコミの影響は無視できない。明治初期に英国人の外交官夫人が表現したという「フジヤマゲイシャ」は終戦後もまだ欧米人の対日観になっていた。フィリピンから「怖い国」のレッテルがはがれるのは何がきっかけで、いつのことだろう。(濱)

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