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12月19日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 569字|2005.12.19|社会 (society)|ハロハロ ]

 子どものころ、母親から「お前は心が優しいけど、だらしがない」とよくしかられた。「だらし」の原義は手拍子だそうで、要はきびきびしていない。服装だけはこわい配偶者のお陰で、何とかだらしなさを克服した。競馬によく行くが、この国の競馬はまったくもってだらしがない。マカティ市サンタアナの競馬場はもう半年以上、電光掲示板が壊れたまま。発走時間も毎回、約二十分は遅れる。

 馬券売り場のおばさんたちはよく印字を間違える。「当たった」と喜んでチケットを確かめると数字が違っている。配当金も正確にくれない。「だらしない」と怒っても、にこにこ笑うだけ。一部のおばさんが端数を勝手に「バラト(おすそ分け金)」に頂こうとするからだ。ドレスコードの見張り役はいつの間にか姿を消した。二階の特設観覧場に場違いなバドミントンコートができたせいらしい。

 馬もだらしなく走るやつがいる。何しろ馬主が毎週出走させるのだ。今年の初め、主催のジョッキークラブが優勝賞金を遅配するという抗議ビラがまかれた。本当ならだらしがないどころか節操がない。

 豆売りのばあさんが来て、やれ「病気だ」「リサール州から来るのが大変だ」などとこぼす。いつまでもだらしなくこぼされているうちに、馬が走り出した。そんなだらしなさが楽しい。フィリピンはだらしない私にふさわしい国だ。(水)

ハロハロ