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10月10日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 437字|2005.10.10|社会 (society)|ハロハロ ]

 太平洋戦争前後、日本人移民(一世)と比人女性の間に生まれた日系二世たち。当時の法律は「日本人男性の嫡出子は妻の国籍を問わず日本」と定めており、二世の大部分は日本国籍保有者とみられる。このため、「戦争の混乱で比残留を余儀なくされた日本人」という意味を込めて「残留日本人」とも呼ばれる。

 二世は、父の死などで日本とのきずなを断たれ、比で比人として戦後を生きてきた。言い換えれば、出生時に日本国籍を取得していながら、日本旅券も持てずに「違法残留」を強いられてきた。日本へ「帰国」しようにも、比政府から「あなたは比人ではない。日本人だ」と比旅券発給を拒まれるケースも出ている。

 六十年を経て戦争の残した暗いはざまから抜け出せない二世たち。その傍らでは「戦後比日交流」の中で生まれた新二世たちが増えている。多くは父親に捨てられ、比日の「暗いはざま」に追いやられている。日本国籍を潜在的に保有しながら比人として生きる新二世もいる。歴史は今、繰り返されようとしている。(酒)

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