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8月29日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 445字|2005.8.29|社会 (society)|ハロハロ ]

 バブル崩壊後の一九九〇年代半ば、長州・山口県萩市で二年間ほど暮らしたことがある。多くの志士を輩出した「維新の里」。日本海に面した風光明美な小都市は、その輝かしい過去とは対照的に、萩焼や観光など地場産業の衰退という厳しい現実に直面していた。人口はとうに五万人を切り、高齢化も急速に進んでいた。

 「長州の議論好き」という。夜の酒場で痛飲した長州人から「維新の時代から有為の人物はみな中央へ出て、故郷のことなど顧みずに国事に奔走してきた。後にはカスと寂れた町が残る」などとたびたび聞かされた。一見、愚痴のようだが、その裏側には「国の大事のため働く有為の人材を支えてきた」という自負がにじむ。

 日本の将来を暗示するような萩の現状と違い、比は年率二%を超える勢いで人口が増え、マンパワーの面では大きな可能性を秘めている。しかし、国連平和維持活動という「国の大事」に参加中の国軍将校をして、米移民へと駆り立てる国情の悲しさ。有為の人材が希望を持てないようでは国は寂れるばかりだろう。(酒)

ハロハロ