ハロハロ
中国の胡錦涛国家主席は食えない人である。少し前に来比したパキスタンのムシャラフ大統領は外国人特派員協会で質問に答え、テレビのインタビュー番組にも登場した。ところが胡さんは国会演説しただけ。にこにこ笑顔を振りまいたが、比国民に直接話しかけることはなかった。大国の指導者ぶったのか、それともメディアが苦手なのか。
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台湾の連戦国民党主席が北京で待っており、心ここにあらずだったろう。しかし公式訪問した先でメディアに接触するのは民主主義を標ぼうする国の元首なら常識だ。
その胡さんが帰国直前に立ち寄ったのは、太平洋戦争中に華人たちが対日ゲリラ戦に参加した遺品などを陳列するマニラ市の華人系フィリピン人博物館だったと報道された。
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在比華人代表の案内で、胡主席は、華人ゲリラが銃器を隠した秘密の引き出しなどを念入りに見学。それから「日本人は外交慣例を無視して中国人総領事ら十二人を拉致、殺害した」と案内役に強調したという。
中国で反日デモが暴徒化した背景については諸説がある。しかし過去を水に流そうとしてくれるフィリピンを訪問して、日中間の古傷をかきむしるとは。胡さんはかつて名宰相とうたわれた周恩来首相とは少し違う。(水)