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11月15日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 557字|2004.11.15|社会 (society)|ハロハロ ]

 「親米のとりで」、フィリピンを拠点として十年。今後の取材活動に決定的な影響が出る今回の米大統領選には格別の関心を抱いた。個人的には民主党ケリー候補を好感したものの、不謹慎ながら「現職再選」にホッとした気持ちもある。軍産複合体と石油メジャーの申し子、ブッシュJr米政権発足と9・11が米比関係の大転換をもたらし、ここでの仕事にさらに面白さが増したからだ。

 この国を知れば知るほど米国との特殊な二国間関係に驚かされる。一九八〇年代の反マルコス運動と反米ムードの高揚は一九九二年のスービック、クラークの米軍基地撤収にまで突き進んだ。このドラマティックな比現代史の裏舞台をのぞくと興味は尽きない。一九九〇年代後半には再び対米依存が頭をもたげ、9・11はそれを一気に表面化させる。米軍は対テロ戦争遂行を口実に念願の比長期駐留の道を切り開いた。

 イラクでの比人人質事件解決のため、アロヨ大統領は七月、米政府の激しい非難の下、平和維持部隊を撤退させた。この間隙を突き、中国は比大統領を国賓として招待。これを機に、比政権は親中国キャンペーンを大展開。「米国との主従関係を脱する」とまで言い切った。独立後、八人の大統領のうち前職エストラダ氏を含め実に四人が事実上米国に追放されたと言える。現大統領の命運はいかに。(康)

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