ハロハロ
[ 457字|2004.10.4|社会 (society)|ハロハロ ]
アキノ政権下のクーデター未遂事件を取材した知人がこんなことを言っていた。「マカティのど真ん中で銃撃戦を起こした反乱兵の処罰は腕立て伏せ。処罰決定の記事執筆中、あまりのばかばかしさに思わず噴き出した」。一国の行く末を左右する重大事件と腕立て伏せ。その取り合わせは下手な漫画より格段面白い。
◇
昨年七月に反乱事件を起こした若手将校六人がアロヨ大統領に敬礼する光景に接して、この「漫画話」を思い出した。占拠現場となったホテルや上下院の証人喚問で真摯(しんし)な政権批判を繰り返した将校。批判の標的だった人物に最敬礼する将校。かけ離れた二つのイメージは四コマ漫画の唐突な「転」だった。
◇
政権側は落とし所を決めた上で「転」を演出したのだろう。予想される「結」の筋書きは二つ。アキノ政権のように重大事件を漫画にして、そのツケを次世代に再び回すのか。それとも大統領府独立調査委員会の進言に従って厳正な処罰を科して「反乱の連鎖」を断ち切るのか。答えは近いうちに出る。 (酒)