ハロハロ
[ 480字|2004.9.27|社会 (society)|ハロハロ ]
他人の子供を川に投げ捨てるような事件が起きる国からマニラに戻った。タクシーに乗ると、運転手がいきなり「あんたはハポンだろ。おれの親父はこの国が日本の植民地になればよかったとよく言うんだ」。
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「どうしてだい。日本経済はあまり元気じゃないよ」。「規律だよ。規律。この国は上から下まで全く規律がない。その点、日本人はきちんとしてる。アメリカがこの国をダメにしたって親父は怒るんだ。ほら、あれを見てくれ」。巨大なトラックが道にはみ出し駐車し、渋滞を起こしている。「警察はカネにならなきゃ取り締まらない。規律なんてどこにもない」と息巻いた。
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この国を牛耳っている政、財界、官僚たちの頭を改造するのは庶民では無理。一時、国家を日本に貸し出して直してもらいたい。それが親父の世直し理論なのだと説明した。聞けば、以前、日系企業で働いていた。日本への素朴な期待に「サラマット」と答えたものの、待てよ。子供を殺したり、年寄りを狙った強盗がはやる国にどんな規律があるというのだろうか。「日本にも昔ほど規律はないと、お父さんに話せよ」。チップをはずんで車を降りた。(水)