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8月30日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 436字|2004.8.30|社会 (society)|ハロハロ ]

 近所に住むフィリピン人女性(23)が最近、五輪開催地アテネへ向けて旅立った。比選手団十六人の一員ではなく、「五輪観戦を兼ねた観光旅行」のためだった。ただし、五輪観戦はあくまでビザ取得用の渡航目的。本当は「観光客を装ってギリシャに入国し、メードとして就労すること」が目的だ。

 女性は大学卒業後、私立小学校の事務員をしていた。給与は月額一万ペソ程度。両親に定職はなく、家計はかなりひっ迫していたようだ。母親によると、「五輪開催で今ならギリシャに入れる」と就労あっせん業者に聞かされ、その話に乗ったという。業者に払った費用約十五万ペソは親類らから借りた。

 アテネ五輪で比選手は敗退を重ね、「悲願の金メダル獲得」は四年後の北京大会へとお預けになった。学校事務員からメードになった女性も、外国人観光客でにぎわうアテネのどこかで肩を落としていることだろう。「できることなら生まれ育った比で家族と普通に暮らしたい」という悲願を抱きながら。 (酒)

ハロハロ