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3月17日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 463字|2003.3.17|社会 (society)|ハロハロ ]

 フィリピンで初めて車を買ったのは八年近く前のこと。外観は米国製四輪駆動車、中身は日本の廃車から切り取った中古部品。確か「エンジンはいすゞ、シャーシはトヨタ、パワーステアリングは三菱製」だった。手ごわい車で、冷却水漏れは日常茶飯事。シフトレバーが折れたり、ワイパーが突然飛んだこともあった。

 有り合わせの中古部品や比国内で手に入る素材を巧みに組み合わせて車を生み出した職人たちの知恵と想像力。日本など先進国の現場からは失われつつあるように思う。汎用(はんよう)部品や溶接などの補修技術を駆使して車をよみがえらせる修理工の手仕事も、同様に貴重になりつつあるとも思う。

 ただ、あるものを組み合わせ、急場しのぎの修繕を続けているだけでは基礎産業は育たない。他国で作られたモノを買い、消費し続けるしか道はない。現状では消費に必要な金も海外出稼ぎに頼るしかない。「アリ」が決して素敵なこととは思わないが、生産人任せで消費だけを続けていては「キリギリス」になりかねない。 (酒)

ハロハロ