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5月17日のまにら新聞から

名所探訪「野生動物救助センター」

[ 785字|1998.5.17|社会 (society)|名所探訪 ]

希少動物の保護と紹介

 ケソン市ノース通りとケソン・メモリアルサークルの交差点近くに環境天然資源省保護地域・野生動物局の管轄する「ニノイ・アキノ公園・野生動物自然センター」がある。約二十四ヘクタールの敷地に背の高い木々や色鮮やかな植物が育っており、散策するだけでも気持ちいい。

 その一画に二ヘクタールほどの「野生動物救助センター」と名付けられたミニ動物園がある。ここでは鳥類、ほ乳類やは虫類を中心に約五十種類五百三十匹の動物が現在飼育され、一部が一般に公開されている。その中にはフィリピン・オウムやパラワン・イノシシなど絶滅の危機にさらされている希少動物も少なくない。

 同センターの獣医、リサ・フェルナンデスさん(24)は「この施設は業者に売られていたり、生息地から離れた場所で発見されて持ち込まれた希少動物を保護、飼育するのが目的です」と説明してくれた。そして「できれば元の自然に戻してやりたいのですが……」と言葉をつないだ後、「だけど、いったん人間の手で餌(えさ)をもらうようになると、再び自然の中で生きていくのが難しい。それに、元のすみか自体が森林伐採や山火事、開発事業などで急速に失われていて、元に戻せたケースはほとんどありません」と顔を曇らせ、希少動物の保護の難しさを訴えた。

 突然、四歳くらいの男の子が「ねえ、ほら、あれはイボン・アダルナじゃないの!」と、青と黄緑色の混じった色鮮やかなオウムの一種を指差し、大声で叫んだ。「イボン・アダルナ」は七色に変化すると言われる伝説上の鳥である。フィリピン・オウムなどのフィリピンの希少動物が絶滅し、伝説のものとならないことを祈りながら、同センターを後にした。

「野生動物救援センターはニノイアキノ公園への入場料(大人八ペソ、子供五ペソ)を払えば見学できる。同センターの開園時間は午前七時から午後五時まで。土・日曜も開園。(澤田公伸)

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