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民間支援で生まれた「和平そば」 ミンダナオの新たな産品となるか

2025/3/17 社会
遠藤大使夫妻、石川総領事夫妻と湯川哲治氏(左から2人目)=湯川哲治提供

ミンダナオ地方の和平合意をめぐり民間支援で生まれた「和平そば」。ミンダナオの新たな産品となるか

今月27日、ミンダナオ包括和平合意文書への署名から11年目を迎える。フィリピン南部ミンダナオ島では、40年以上にわたりモロ・イスラム解放戦線(MILF)と政府との紛争が続いていたが、日本政府の仲介などもあり2014年3月27日に包括和平合意が締結された。19年2月22日にはバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)が発足した。日本政府は、2006年以来、J―BIRDと総称されるミンダナオ和平支援案件を24年度まで約5億1500万ドルに達する100案件以上のプロジェクトを実施しており、今後も和平の維持と地域の開発支援を継続して行う方針だ。他方で、いくつもの民間プロジェクトもミンダナオ和平と復興に一役買ってきた。その一つが、ミンダナオ産の「和平そば」である。

 ▽「和平そば」の誕生と中断

ミンダナオ島でのそば栽培は、2007年に住川武禧氏が南マギンダナオ州で始めた。4年間の試行錯誤の末、栽培場所を南ラナオ州アマイマナビランに移し、生産量を年間100トンまで拡大させた。現地は産業に乏しく貧困ゆえにモロ・イスラム解放戦線(MILF)の兵士に身を投じるしかなかった住民も多く、ソバ栽培で収入につなげてもらおうと考え、MILFの元兵士を中心に雇用した。また収穫したソバに「和平そば」と名付けた。だが、参画していた日本の企業が合弁を解消。一時は日本のコンビニにも供給されたが、共同事業者の日本企業が撤退したことにより事業は中断した。

 その後、住川氏は帰国することになるが、後を託された湯川哲治氏は、ブキドノン州マライバライ市のフィリピン農務省試験場で試験栽培を成功させた。ソバは標高950~1300メートルでも栽培可能で、昼夜の寒暖差が生育に重要だという。

 その点、ミンダナオの高原地帯はソバ栽培に適している。ミンダナオ産「和平そば」が本格的栽培に移行すると同時に、日本を供給先と考えた湯川氏は、①輸送時間・距離が他の外国に比べて短かい②残留農薬などの点で安全性が確保できる③一般的な産地では年1~2回の収穫だが、ミンダナオでは年間3~4回収穫可能で通年供給が可能④フルーツ用の低温倉庫が多く、転用可能で品質を維持した保管ができる――などの利点があると考えた。

 農林水産省の資料によると、ソバの国内供給量は年間11万~14万トン程度で、このうち国産ソバが3万~4万トン程度供給されており、自給率は近年3割程度。つまり日本は年に7万~11万トンのそばを輸入に頼っている。供給国であるウクライナやロシアからの調達が困難な状況が続く中、ミンダナオ産「和平そば」は新たな供給源として期待される。

 ▽好評を博した「和平そば」

 ミンダナオ産「和平そば」の試験栽培に成功した湯川氏は、石川ダバオ日本国総領事から、「『新年祝賀レセプション』と『天皇誕生日レセプション』で披露し、参加者に味わってもらいたい」との言葉を受けた。そこで550キロのソバの実を日本へ送り、つなぎに北海道産小麦粉を使って7割そばの乾麺に仕上げて、フィリピンへ持ち込んだ。そして、今年1月18日の「新年祝賀レセプション」と2月13日の「天皇誕生日レセプション」で「和平そば」を提供し、石川総領事をはじめ参加者から好評を博した。遠藤大使のダバオ初出張時の1月27日に開催された「歓迎レセプション」でも、湯川氏が「和平そば」の試験栽培や乾麺製作について詳しく説明し、乾麺を大使夫妻に持ち帰ってもらった。

 この「和平そば」は首都圏マカティ市チノロセス通り(パソンタモエクステンション)の瀬里奈で味わえる。また、乾麺の販売は、瀬里奈やニノイアキノ国際空港(NAIA)第1ターミナル内の売店で、200グラム入り1袋から購入可能。問い合わせは、ミンダナオ日本人商工会議所(JCCM)の湯川副会頭が電子メール(waheisoba2025@gmail.com)などで受け付けている。 (青柳一臣)

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