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「挑戦自体が素晴らしい」 バレンスエラ市のNP派遣校で

2025/2/11 社会
日本語の授業でグループ練習を見て回る郡志さら翼さん(写真右の手前向きの女性)=1月31日、首都圏バレンスエラ市のバレンスエラ・シティー・スクール・オブ・マセマティックス・アンド・サイエンス高校で岡田薫撮影

国際交流基金がバレンスエラ市の日本語パートナー派遣校を訪問

国際交流基金マニラ日本文化センター(JFМ)の日本語専門家ら一行は1月31日、首都圏バレンスエラ市のバレンスエラ・シティー・スクール・オブ・マセマティックス・アンド・サイエンス高校を訪問し、同校で実施されている日本語の授業を見学した。国際交流基金による日本語パートナーズ(NP)事業第11期の郡志さら翼さん(24)が日本語授業に加わる同校では、ジュニアハイ3年(日本の中学3年に相当)と4年(同高校1年に相当)の計314人が日本語を学ぶ。総生徒数は現在682人だ。

 一行は生徒による比の伝統ダンスで迎えられ、ハイメ・デベラジュニア校長の挨拶を受けた。バレンスエラ市出身で、同校との関わりが20年に及ぶという同校長によると、「バレンスエラ・シティー・サイエンス高校」として2003年に始まった同校は、14年に所在地と名称が変わり、近代的な校舎となった。数学と理科が強化科目で週6時間ずつを費やす。

 ジュニアハイに42人、シニアハイに13人の教員を迎え、1学級あたり35人前後の「少人数」クラスを保っているという。その後、校内ツアーが実施され、他の公立校以上に充実した実験器具を備える理科室や整然とした図書館なども見て回った。デベラジュニア校長は、京都大学に入学した卒業生がいること、昨年JFМによる校長向けプログラムを通じて8日間、東京や大分県を訪ねたこと、日本で目にした良い取り組みなどを振り返った。JFМの西村尚日本語専門家も、同校への日本語教育支援の継続を約束し、学校側の熱意やホスピタリティーへの感謝を表した。

 ジュニアハイ4年の授業では2チームに分かれ、指定されたアクションを推測しながら「私はタイヤを磨いています、あなたは?」などと、想像力を駆使するアイスブレーキングから始まった。そして「何をしますか」に対応する行動として「学校へ行く」「本を読む」「家に帰る」「宿題をする」など、一日の活動を練習。チームごとの伝言ゲームでは、はしゃぎながらホワイトボードに短文を複数書き出していた。最後はその日の学習内容を振り返って締めくくった。

 ▽「元気に満ちた先生」

 授業後、ガブリエラ・ボニファシオさん(16)は、開口一番「今日はとても多くのことを学べて嬉しい」。「さら先生はとても優しくいつも笑顔」で、この先も「日本語でコミュニケーションが図れるように、勉強を続けていきたい」と目を輝かせていた。実業家か航空機のパイロットになるのが夢だというアウドリナレクシン・ウルッチャさん(16)は、郡志さんを「話しかけやすくて明るい人」と評した。今から5年後には、「日本を旅行している」と思い描き、「日本語や日本文化について学びを深めたい」と語った。

 この日、郡志さんと組んで授業を行ったのは英語教科担当のアレンアン・デリカ先生。11年間の同校での教員経験の中で、音楽や体育、社会を教えたこともあり、「フィリピンでは多くの教科を行き来する柔軟性が求められる」と笑う。それに加え、JFМで日本語を学び始めた2019年から日本語も教えてきた。デリカ先生は「日本語は文化が豊かで、教えることで新たに学べることが多い」とし「多くの道が開けるのも感じている」と説明した。それに「一定のスタンダードを提供してくれる日本語パートナーズの存在は大きな助けだ。本物に接する貴重な機会」だと評価した。

 ▽二度目の比へ

 郡志さんは、フィリピン系米国人の父親と日本人の母親との間にハワイで生まれ、幼少期から海外と日本を行き来する生活を続けてきた。大学で日本語教育を副専攻に選んだ理由として、日本語以外の言語教育を受けた自身の体験から、「日本でも同じように困っている子の力になりたいと思った」と語った。国際協力のゼミを履修し、卒業論文は比の「初等教育における地域格差」をテーマに選んだ。在学中に約2週間スタディーツアーに参加したのが比への初訪問で、今回が二度目となる。

 「公用語が英語とはいえ、普段の会話はタガログ語だった」と、タガログ語ゼロ状態で比に来た郡志さんは、JFМによる語学研修制度を利用し、タガログ語研修を続けている。比に来てみて、「得意ではなくても歌うと『先生アイドルみたい』って言ってくれる。おかげで自己肯定感が高まった。点数評価するのでなく、挑戦すること自体が素晴らしい、というポジティブな心に励まされる」と語った。それは、授業中もタガログ語を端々に使用し、コミュニケーションする姿に表れていた。 (岡田薫)

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