中国が海軍ヘリを派遣 「モンスター」出現5日経過
(BY TOMOAKI TAKESHITA) 中国海軍が軍用ヘリを中国「モンスター船」が展開しているサンバレス沖に派遣。比沿岸警備隊と相互監視状態に
2012年に中国が占拠したパナタグ礁(英名スカボロー礁)とサンバレス沿岸の間の海上に、中国海警局の世界最大級巡視船「海警5901」(165メートル)が確認されて4日が経った7日、同海域に中国海軍ヘリが出現した。尾翼に「47」と記された同ヘリは、監視に当たっていた比沿岸警備隊(PCG)の44メートル級巡視船「BRPカブラ」(日本供給)の上でホバリングするなどし、相互に監視し合う状況が展開した。この事態を受けてPCGのガバン長官は、「ひるむことなく、かつ緊張を激化させる行動を自制しながら監視を続けよ」と指示を出した。
中国は昨年10月、スカボロー礁周辺における自国の領海基線を一方的に発表。国連に地図を提出した。昨年6月には、領海侵入した外国人を長期勾留できることなどを定めた海警法の施行規則を実施しており、今回の船舶派遣も自国の海洋権益の主張のための行動とみられる。
フィリピンで「モンスター船」と呼ばれる海警5901は8日まで、サンバレス州沿岸線から60~70カイリの海上に展開。スカボロー礁からも70カイリ程度の距離で、比の排他的経済水域(EEZ)内だ。PCGは中国船に対し、「中国の巡視船には比のEEZ内で法執行活動としての巡視を行う権限がなく、違法だ」と警告。派遣の目的を明らかにするとともに直ちに退去するよう、繰り返し伝達した。
出現して5日目となる8日、「モンスター船」はサンバレス沖から離れはじめ、午後4時までに海岸線から90カイリに移動した。一方で7日に広東省を出港した別の海警局船「海警3103」が、モンスター船の展開していた位置に近づいていることを、PCGの船舶探知システム(カナダ供与)が検知した。ガバン長官は航空機「PCGアイランダー」を派遣し、動機はモンスター船が展開していたところの近くの海上で海警3103を実際に確認。PCG巡視船は海警3103の監視に向かった。
▽「法に基づき巡視」
中国外務省の郭嘉昆報道官は7日の定例会見で、中国の「モンスター船」を「不法に展開してる」と比側が非難していることについて、「中国海警局は法律に基づき当該海域のパトロールおよび法執行を行っている」と述べ、法執行業務を行っていることを認めた上で、「これに非難の余地はない」と断言した。(竹下友章)