「逮捕の可能性を想定」 暗殺発言でサラ副大統領
サラ副大統領「最悪のシナリオでは、逮捕、保釈なし勾留されることも想定している」
マルコス大統領夫妻とロムアルデス下院議長への「報復的暗殺予告」問題で国家捜査局(NBI)への出頭命令を受けていたサラ副大統領は11日、出頭に応じずに副大統領事務所で会見を開いた。自身の発言について「私がただでは死なないことを相手に知らしめたほうがいい。後悔はしていない」とした上で、「逮捕され保釈なしの勾留を受けることも最悪のシナリオとして想定している」と述べた。
以前から批判されていた副大統領室・教育省の機密費問題に「報復的暗殺予告」問題が重なり、国家捜査局(NBI)による捜査と2件の弾劾裁判請求に直面するサラ氏。「逮捕が目前となったときに国外逃亡するかどうか」という質問には「国外に逃げることも隠れることもしない」と断言。「私には子どもがおり、国内で拘束されても子どもとは面会できるからだ」と述べた。
▽「ロムアルデス副大統領でいいのか」
「1人の人間を破壊するために、全政府が動員されるとは思っていなかった」というサラ氏は、弾劾裁判などによって「副大統領を解職されるシナリオも想定している」と発言。「左派だけでなくあらゆる方面から攻撃を受けている」と強調した。
自身が次期大統領候補者として世論調査をリードしてきたことと「政治的攻撃」との関連については、「常に次期大統領レースから引きずり降ろそう、または副大統領の座から降ろそうという策謀がある」と述べた。さらに、「ロムアルデス(下院議長)に副大統領になってほしいか」と発言。一連のサラ氏バッシングの裏にロムアルデス氏がいるとの考えを示した。
マルコス大統領の母方のいとこで、大統領腹心としての振る舞いも見せるロムアルデス議長は、次期大統領への野心を抱いているとされ、下院でサラ氏の議会基盤の弱体化やサラ氏への追及を仕向けているとの指摘もある。
国軍との関係については、「参謀総長に会ったとき『ナンバー1』(大統領)だけでなく継承順位2位の『ナンバー2』(副大統領)を守るのが国軍の役目。ナンバー2を守られなかったら、ナンバー1がいなくなったときどうするのかと指摘した」と述べた。
国軍などの出向職員からなる副大統領警護班は先月、下院から拘束されていたサラ氏側近を移送する際に国家警察を妨害したとして捜査を受けている。サラ氏はまにら新聞に対し、国軍退役軍人を中心に、警護班を作り直す案があることを明らかにした。
副大統領室と教育省の機密費不適正使用疑惑については「さまざまな脅威に対処する必要から使用した」と説明したが、「細部について公に説明する義務を負わないのが機密費だ」として、今後も説明をしない考えを示した。
NBIがサラ氏に出した出頭命令では、重大な脅迫容疑やテロ防止法違反の可能性が指摘されている。 (竹下友章)