「父の遺産を引き継ぐ」 故マルコス元大統領の墓参拝
万聖節に合わせマルコス大統領が母のイメルダ夫人と共に故マルコス元大統領の墓標でミサを開く
マルコス大統領は1日、日本のお盆に当たる「ウンダス」初日の万聖節に合わせ、母イメルダ・マルコス氏と共に、首都圏タギッグ市の国立英雄墓地を訪問、父である故マルコス元大統領の墓標に参拝し、ミサを主催した。ミサには多数の支持者らが参加した。
大統領は「幼少の頃から父の大統領としての資質を近くで見てきた」とし、「父が安らかに眠るためにも、父の遺産を引き継ぎ、わが国の発展と国民の生活向上に取り組みたい」と宣言した。
1986年2月のアキノ政変(エドサ革命)で「独裁者」として追放され、米ハワイで病死した故マルコス元大統領が英雄墓地への埋葬が認められたのは、ドゥテルテ前政権下の2016年。それまで故郷・北イロコス州の記念館に冷凍保存されていた。またマルコス大統領が大統領就任後に万聖節に合わせて参拝するのは昨年に続き2回目だ。
戒厳令の布告を「必要だった」と公言し、その中で発生した人権問題の真偽に疑義を呈するなど、歴史修正主義とも批判される言動をとってきたマルコス大統領が、また一つ家名回復のための既成事実を重ねた格好だ。
▽墓暴き南シナ海に捨てる
マルコス大統領との対立が激化するサラ副大統領は10月18日、大統領の実姉であるアイミー・マルコス上院議員に対し、「現政権からの政治的攻撃が続くようなら、故マルコス元大統領の遺体を墓から掘り起こし、西フィリピン海(南シナ海で比が権益を有する海域)に投棄する」と警告したことを明らかにした。
この発言について聞かれたマルコス大統領は「コメントしたくない」とだけ述べ、反論を控えた。
10月の会見でサラ副大統領は「マルコス大統領の国を率いる能力は10段階評価で1」「彼の首を切り落としたい」などと過激発言を連発。これに対し、エスクデロ上院議長は「ふさわしくない」、ピメンテル上院野党院内総務は「異常だ」などと批判していた。(竹下友章)