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9月7日のまにら新聞から

グオ元町長 逃亡先から送還 週明け上院公聴会に召喚

[ 1078字|2024.9.7|社会 (society) ]

POGOとの癒着や国籍不正取得などの容疑が掛けられているアリス・グオ前町長が、逃亡先のインドネシアから送還

マニラ空港に到着したアリス・グオ前町長=6日未明(入管提供)

 中国籍でありながらフィリピン国籍を不正に取得したなどの容疑がかかっているタルラック州バンバン町のアリス・グオ前町長が逃亡先のインドネシアから送還され、6日午前1時半ごろにマニラ空港に到着した。同容疑者の身柄は、前政権期に麻薬取引関与の疑いで訴追され、6年9カ月間拘束された前大統領の政敵デリマ元上院議員と同じ施設に勾留された。前町長に逮捕状を出しているタルラック地裁は同日、9日の上院公聴会に出席することに許可を出した。

 グオ容疑者は到着後数時間、首都圏ケソン市の国家警察本部に留置された後、午前中に逮捕状を発付したタルラック州カパス町の地方裁判所に移送された。同裁判所はグオ容疑者の保釈金を9万ペソに設定していたが、裁判所でグオ容疑者は保釈金を支払わない意思を表明。そのため午後2時12分頃に国家警察本部に連れ戻された。

 またグオ容疑者は、違法オンライン賭博への関与に関し上院公聴会による召喚を正当な理由なく欠席したとして、上院からも拘束命令が出ている。国家警察は「月曜に予定される上院公聴会にはグオ氏が召喚された場合でも、裁判所命令なしでは上院議会に送致することはできない」と説明したが、その後に地裁が上院のリサ・ホンティベロス上院議員の申請を承諾し、上院公聴会への出席を許可した。

 ▽笑顔で写真取る

 送還便には、アバロス内務自治相マルビル国家警察長官が同乗。同日、SNSではアバロス内務自治相とマルビル国家警察長官が両手でピースサインを作るグオ容疑者と笑顔で撮っている写真が拡散された。左派系市民団体バヤンのレナト・レイエス議長は自身のフェイスブックに、この写真と警察に力づくで拘束される活動家の写真をともに投降。「これが比の法執行の二重基準だ」と批判した。また、グオ容疑者が国家捜査局(NBI)の捜査員と笑顔で撮った写真も拡散した。

 マルコス大統領は写真問題について、「私たちは世界一の自撮り国民。一緒に写真を取るのは比の文化であり、そのようなときには笑顔になるのが自然だ」と述べて当局を擁護した。

 一方、国家警察報道官は「写真は記録のために求めに応じて撮ったもので、マルビル長官はグオ氏がピースサインしていることに気づいていなかった」釈明。「だれかの心情を害する意図はなかったが、そういう方がいたのならお詫びしたい」と謝罪した。

 また、グオ容疑者が特別扱いされているとの批判に対しては、「グオ氏が勾留されている場所はトイレが一つあるだけで、エアコンもない。携帯の使用も禁止されている」として否定した。(竹下友章)

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