「全国民で主権防衛を」 英雄の日で大統領演説
比独立革命開始に合わせ独立の英雄を顕彰する「英雄の日」の式典で、大統領が国民に主権防衛に取り組むよう呼びかけ
1896年に独立運動家アンドレス・ボニファシオ率いる秘密結社「カティプナン」が武装蜂起した日に合わせ、比独立の英雄を顕彰する「英雄の日」の式典が26日、首都圏タギッグ市の国立英雄墓地でとり行われた。テオドロ国防相、ブラウナー国軍参謀総長、ベルサミン官房長官、ロムアルデス下院議長らと参席したマルコス大統領は演説で、比独立のために戦った英雄をたたえた上で、国民に「共同責任の精神のもと、一人ひとりが英雄になってほしい。民主主義の原則を尊重し、法の支配に従い、わが国の主権を防衛せよ」と訴えた。
大統領は比の英雄として、1521年のマクタン島の戦いでマゼランを討ち取りスペイン艦隊を撃退した同島領主ラプラプ、「比独立の父」として知られる改革者ホセ・リーサル、リサールから薫陶(くんとう)を受けつつ武力革命の道を選んだボニファシオ、米比戦争で「最も優れた将軍」といわれたアントニオ・ルナを挙げた。また、18世紀にイロカノ人のスペイン支配からの独立のために戦った女性軍事指導者ガブリエラ・シラン、独立革命・米比戦争に兵士・看護師として従軍した「ビアクナバトの母」トリニダッド・テクソン、独立革命・米比戦争・抗日ゲリラ戦に参戦した「ビサヤのジャンヌ・ダルク」テレサ・マグバヌアの3人を女性英雄として挙げ、「彼女たちは比人女性が男性と同様に勇猛であることを証明した」とたたえた。
その上で、「われわれの祖先が苦労の末勝ち取った自由を守るには、不断の努力が必要であり、英雄的行為とは歴史書の中のみにあるものではない」と指摘。「地政学的紛争、疫病、気候変動など様々な逆境の中で、海上の境界を守る海軍や比沿岸警備隊(PCG)、国民を守る兵士、他者のために命をかける医療従事者の中にも英雄がいる」と称賛し、祖先が勝ち取った自由を守り、次世代に遺す「新しいフィリピン(バゴン・ピリピナス)」のビジョンを各分野で実現するよう呼びかけた。
ホセ・リサール、アントニオ・ルナ、アンドレス・ボニファシオは海軍でそれぞれ、ミサイルフリゲート艦(海軍旗艦)、その同型艦、哨戒艦の名称となっている。また、テレサ・マグバヌア、カブリエラ・シランは、PCGでそれぞれ97メートル級巡視船=PCG最大船、日本供与、83メートル級巡視船=フランス供与=の名称となっている。(竹下友章)