領海外で初の海軍合同演習 自衛隊がオブザーバー参加
今年の比米合同演習バリカタンでは、比米仏海軍が初めての領海外演習をパララン西方で実施
フィリピン国軍は20日、来月から始まる最大の年次比米合同軍事演習「バリカタン」(第39回)で、米仏と初の領海外での海上演習を実施すると発表した。場所はパラワン島の西方で、比中で緊張が高まる南シナ海南沙諸島に面する。比海軍、米海軍、米沿岸警備隊、仏海軍が参加し、合同航行、実弾射撃訓練、捜索救難、艦載機離発着訓練などを行う予定だ。
領海外で実施する理由について、国軍バリカタン担当のロヒコ中佐は「フランスとの間には地位協定(SOFA)や訪問軍協定(VFA)がないため」とし、領海外で実施することにより「仏海軍が航行の自由作戦の一環として合同演習上を行うことができる」とした。
中国を刺激するリスクについて同中佐は、「どの国も軍事演習を実施する権利を有しており、比は他国がどう考えるかということで思いとどまることはない」と回答。バリカタンの目的について「われわれの国防への準備を示すことであり、全体の意図は抑止することだ。そして(相手が)抑止されなかった場合は防衛することだ」と述べた。
比仏は昨年12月にVFAの締結に向けた検討を始めるなど、安全保障協力を強化している。
▽大規模オブザーバー団派遣も
今回のバリカタンの規模についてロヒコ中佐は「米軍から1万1000人、比軍から5000人、豪州軍から150人参加する予定」と発表。仏軍が何人参加するかは未定だが、オブザーバーを含めると史上最大規模の1万7767人だった昨年と同規模の演習になる可能性がある。
オブザーバー参加する国は現時点で14カ国。ほとんどは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国で、日本、インドも参加する。自衛隊のオブザーバー団は通常より規模が大きくなる可能性があるという。
19日には、防衛省の統合幕僚監部から自衛隊制服組ナンバー3の甲斐修統幕最先任(准空尉)が比国軍本部を訪問。カウンターパートであるガーラン参謀総長代行と会談し、バリカタンへのオブザーバー派遣のほか、他の共同訓練の計画、部隊間協力円滑化協定(RAA)、多国間協力などについて協議を行った。(竹下友章)