「日本が恋しくなる」 第22回マニラ盆踊り大会開催
タギッグ市のマニラ日本人学校グラウンドでマニラ日本人会主催の盆踊り大会が開催された。越川和彦駐比日本国大使があいさつ
首都圏タギッグ市のマニラ日本人学校(MJS)グラウンドで2日、マニラ日本人会主催の第22回盆踊り大会が開催された。今年は日本人会の会員だけでなく比人など会員以外も入場可だった。例年3000人ほどの来場数だが、午後7時現在、受付人数は5000人を超えていたという。
アニメのコスプレや浴衣を着用した来場者もおり、空きスペースにはレジャーシートを広げて食事を楽しみながらくつろぐ家族連れの姿も多く見られた。その場で立って盆踊りの曲に合わせて踊る比人の姿もあったほか、あちこちでは再会を楽しむ様子も伺え、記念撮影を楽しんでいた。
会場では、始めにマニラ日本人会の高野誠司会長がやぐらに立って開会を宣言。またフィリピンでの任期を終え来週には帰国する越川和彦駐比日本国大使が初めて来賓した。越川大使は「着任後、最初に訪れたMJSは、当時コロナ禍で閉まっており誰もいなかった」と振り返り、「それから3年3カ月が経ち、こうしてたくさんの人が集まって楽しんでいる姿を(日本に)帰る前に見ることができてとてもうれしく思う」と語った。また、日本人だけでなく比人も多く来場したことに喜びを表し、「踊って飲んで騒いでストレスを解消しましょう!」と元気な呼び掛けで締めくくった。
MJSの和太鼓クラブの発表が開会の音頭を取り、その後複数のグループがやぐら踊りを披露し会場の人々も一緒に踊って楽しんだ。ステージでは幼稚園生から小中学生を中心にダンスなどのパフォーマンスで観客を沸かせた。
屋台ブースでは日本人コミュニティになじみのある三田屋、関取、一本鎗などの日本食レストランがかき氷やチョコバナナといったお祭りのメニューを売り出したほか、日本人関係の団体らがヨーヨー釣りや輪投げなど昔ながらの定番の遊びで会場を盛り上げた。また、バギオの高原野菜が売られたほか、マニラ日本人会は無料の古本市を開いた。民間のボランティア団体ACTⅢやNPO法人DEAR MEも物販をしながらブースに足を運んだ人に活動を紹介した。
今回、NPO法人DEAR MEが昨年2月に開校した、縫製やファッションデザインを学ぶ無償の職業訓練校「coxco Lab(ココラボ)」の生徒と先生が、マニラ日本人会のスタッフが着用するはっぴを制作。先日10回目のファッションショーを開催したばかりの同団体現地理事の小村萌さんは「企業や組織などから注文をいただいて制作するのは今回が初めて。50枚作るのは日程的にも大変だったがうれしい」と活動の幅が広がっていることを感じていると話した。
ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)在住でパートナーの比人男性と来ており、記念撮影を楽しんでいた比人女性のカイエン・シルバさん(23)は、三越でチラシを見かけて足を運んだという。シルバさんは「アニメで見ていた日本の夏の風景が目の前にあってとても興奮した。全然違う世界にいるみたい」と笑顔を見せた。今回初めて来場したという来比2年の邦人男性は「2年ぶりに日本の夏祭りの光景を見て日本がとても恋しくなった」と話した。また、生後8カ月になる息子を連れて家族3人で来ていた邦人女性は「こんなに日本人がいるんだと驚いた。せっかくなので息子にも浴衣を着せてみた」とし、「涼しくてビールがおいしい」と微笑んだ。(深田莉映)