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2月27日のまにら新聞から

節目の10年、挑戦これからも DEAR MEファッションショー

[ 1427字|2024.2.27|社会 (society) ]

貧困層の子どもたちがランウェイを歩く、NPO法人DEAR MEの10回目のファッションショーが開かれた

ステージと客席のランウェイを歩くモデルたち=24日、マニラ市リサール公園で深田莉映撮影

 首都圏マニラ市リサール公園のオープンエア・オーディトリアムで24日、NPO法人DEAR MEの主催で、ケソン市パヤタス地区などの貧困層の子どもたちがモデルとして出演するファッションショーが開催された。「ランウェイの上で夢を描く」を掲げ2015年から続いており、今年10回目の節目を迎えた。

 モデルたちは彩り豊かでユニークな衣装を身に付け、ライトを浴びて堂々とランウェイを歩いた。満面の笑顔を見せたり、照れから少しはにかんだりと様々だったが、1人1人の表情には自信が溢れていた。ポーズを取るたびに会場は観客からの大きな歓声と拍手に包まれ、涙を流しながら声援を送る人も見られた。

 衣装はモデルになる子どもたち自らがデザインをし、日本の大阪成蹊大学の学生やボランティアが、古着や残布を使用して地球環境に配慮した形で作り上げた。ステージ上では同大の学生とのコラボレーションもあり、モデルと学生が手をつないでランウェイを歩いた。

 今回初めてモデルとしてランウェイを歩いたジャイラ・バラットさん(20)は「本当に素晴らしかったし楽しかった!この衣装を作ってくれた人に心から感謝を伝えたい」と笑顔を見せた。同じく初めて参加したレナリン・シバルさん(20)は「最高だった。ステージからの景色はすごくて手汗が出た!」と興奮冷めやらぬ様子で話した。

 DEAR MEは昨年2月に「生まれた場所に関わらず誰もが描いた夢を実現できる環境を」との思いで、教育や雇用機会創出を目的に、比の貧困地区で暮らす若者がファッションのデザインや縫製技術を習得する無償の職業訓練校「coxco Lab(ココラボ)」を開校。今回はココラボで学ぶ生徒も、自ら作った衣装を身に着けステージに上がった。また、将来の夢やココラボでの学び、感謝の気持ちを壇上で発表した。

 ステージではダンスや歌、将来の夢を語るスピーチなどが披露されたほか、「フィリピンで最も有名な日本人」として知られ、比日を拠点に活動するインフルエンサーのFumiyaさんがゲスト出演。「日比の架け橋になる」という夢を追って活動してきたこれまでの道のりを語り、パフォーマンスで会場を沸かせた。

 ▽10回目「信じられない」

 学生支部代表の田村美有さん(22)は「子どもたちが笑顔で自信を持ってランウェイを歩く姿を見て、夢や希望が貧困などの社会問題で押しつぶされず、秘めた可能性を引き出していける社会をつくりたいと、強く思った」と振り返った。

 DEAR MEの創設者で代表の西側愛弓さんは最後のスピーチで、10回目の開催に「信じられない。幸せな気持ちでいっぱい」と喜びを表し、「出会った子どもたちや皆さんに対して感謝の気持ちを返せるように引き続き活動を頑張りたい」と意気込みを語った。

 現地理事の小村萌さんは「日本や比に限らずいろんな場所から来た皆さんと、今日この瞬間を共にし、同じ感動を共有できたことに意味がある。小さな一歩でもアクションを起こしていけばきっと社会は良くなると信じているから、これからも皆さんと一緒にチャレンジしていきたい」と締めくくった。

 ファッションショーの観覧は昨年に続き2回目、以前ココラボにも見学で訪れていた長江英樹さんは、「子どもたちの表情が本当にまぶしくて、それを見たくて今年もまた来た。ココラボの子どもたちが頑張る姿も見られて良かった」と微笑んだ。(深田莉映)

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