トップに聞く 「必要だから届ける、それだけ」 オンライン診療サービス Mexpo代表 山崎健介さん
【トップに聞く】フィリピンから日本人医師のオンライン診療を受け日本から薬を届けるサービス「Mexpo」を立ち上げた山﨑健介さんに話を聞いた
フィリピンにいながら日本の医師のオンライン診療を受け、日本の薬を最短3日で自宅に届けてもらえるサービス「Mexpo」が、今年9月にリリースされた。社名のMexpoは、メディカル(医療)とエキスポート(輸出)を掛け合わせたもの。比の医療問題に取り組む株式会社Mexpo代表の山﨑健介さんに話を聞いた。(聞き手は深田莉映)
―事業内容は。
比から日本にいる医師のオンライン診療を受け、必要に応じて処方された薬を国際便で自宅まで届けるサービス。内科、皮膚科、婦人科、アレルギー科、小児科など幅広く対応しており、診察時間は比時間午後6〜10時。年末年始を除き年中無休で診療を受けることができ、クレジットカード決済ができる。今後、提携医療機関を増やし、診察時間の延長や日本の保険適応にも対応していく予定。
―事業立ち上げのきっかけは。
比在住の日本人の知り合いから、比での生活において食事や衛生面の問題に加え、病院で処方される薬が日本のものに比べて強いため、体に合わず困っているという話を聞いていた。自分が医療関係の仕事に就いていたこともあり、この「体調を崩した際の薬問題」を解決したいと取り組み始めた。最初は知り合いのためにというきっかけだった。
―サービスの強みは。
日本の医師に日本語で診察してもらえること。例えば「ちくちく」「ずきずき」という痛みの種類など、日本人が共通して認識している表現や症状を、細かいニュアンスまで自分で直接伝えることができる。通訳を介すとどうしても感覚や言語表現の違いでずれが発生することがあるため、その点を解消できるのは安心につながると考えている。
―医師はどのように募ったか。
前職の調剤薬局関連の企業で知り合った、新しいことを始めたいと思っている医師と立ち上げた。
―大変だったこと。
比だからということは特になかったが、国際輸送なのできちんと指定通りに紛失されず届くかどうかが心配だった。初期モニターも、それを確かめるために実施した。ただ、国際便で最短3日とはいえ数日かかってしまうため、その間に症状が改善する人もおり、また急患には対応しきれないという限界はある。
薬を扱うにあたっての認可などは、弁護士を通して保健省の許可が下りている範囲内で対応している。
―モチベーションは。
海外の薬に対する不安を抱く人は少なくないし、体に入れる以上、抵抗感があるのもよく理解できる。Mexpoが医療問題の解決につながり、このサービスを通して助かる人がいるから、必要だから届ける。シンプルにただそれだけ。
―これからの課題は。
認知拡大をどう図っていくかが今後の課題。日本料理店などにフライヤーを配布したり、インスタグラムやX(旧ツイッター)といったSNSだけでなく、自由に投稿できるメディアプラットフォーム「nоte」などを駆使して試行錯誤している。薬を扱うので利用者の「本当に大丈夫なの?」という不安を解消し、安心してサービスにアクセスしてもらいたい。
最近はサービスの情報だけでなく、比生活の日常シーンや面白エピソードの投稿も力を入れ始めたところ、フォロワーが増えて手ごたえを感じている。
―今後の展望。
日本人社会にMexpoの存在を浸透させて、体調不良の時などに「病院行く?Mexpoする?」と、当たり前のように選択肢に自然とあがるところまでいきたい。
▼もっと聞きたい!
―趣味。
筋トレ、カフェ巡り、水泳。アイドル鑑賞も好きで、乃木坂46が好き。
―影響を受けた人。
「ドラゴン桜」の先生、桜木建二。世の中の自分が当たり前だと思っていることを疑うことの大切さを学んだ。
―モットー。
「なるようになる」。
不安やうまくいかないことはたくさんあるが、それを今どうこう考えていてもしょうがない。すべてがうまくいくわけではないが、やることをやっていればどうにかはなる。
―これだけは他の社長に負けない。
筋肉!
―子供の頃の夢。
「名探偵コナン」が好きだったのでFBIやCIAに憧れていた。ほかに「007」や「オーシャンズシリーズ」の映画を見てスパイになりたかった。
―比の印象。
ひとが皆楽しそうすぎる。日本とは違う楽しさがある。
―人生の分岐点。
高校1年生で国体8位入賞を果たし、水泳で生きていくことを決めた。大学まで18年間続けたがもうやり切ったという気持ちがあり、今度は社会人のフィールドでビジネスで戦っていくことにした。
―10年後に何をしていたい。
妻と子どもと家族でボラカイ島など比の海に行きたい。