在ガザ比人に退避命令 危険レベル4に引き上げ 外務省
比政府がガザの警戒レベルを最高の4に引き上げ。131人の在ガザ比人に退避命令
外務省は15日、パレスチナ自治区ガザの危険レベルを最も高い4に引き上げた。ガザ在住の131人の比人には、国外退避命令が下りた。ガザでは、イスラエル側がガザ北部に通告した避難期限が終わり、イスラエルによる限定的な地上攻撃が開始。双方の死者は合わせて3600人を超え、大規模な地上作戦の可能性が高まる。一方で、米国、イスラエル、エジプトの3国は14日、ガザ地区とエジプトの国境であるラファ検問所を外国人が通過できるようにすることを申し合わせており、ガザ在住比人131人が無事にエジプト経由で帰国できるかが焦点となっている。
デベガ外務次官は「在ガザ比人が現地にとどまることを決めた場合、政府は安全を保証できない」と警告。イスラエルによるハマスへの大規模攻撃が始まる前に、ガザ退避を決断することを呼びかけた。ただ、まだ現時点で「ガザには出入り口がない」としながら、エジプト境界経由で退避可能になることに期待を表明した。
外務省によると、15日時点で78人の比人がエジプト国境付近に集まっている。今回のイスラム組織ハマスとイスラエルとの武力衝突で、イスラエル在住の比人3人の死亡が確認されている。
▽比にテロ波及も
アイミー・マルコス上院外務委員長は15日、テレビ番組で、国内のハマスやイスラム国(IS)支持者が比を標的に活動を行う可能性を指摘。「第一にイスラエルにいる比人の安全を強化し、第二には、全てのテロ行為を非難しながら、イスラム教の同胞の怒りを買わないようにする必要がある」と述べた。
その上で同議員は「国連は(完全封鎖して行う)ガザ空爆を人権侵害と非難している。ガザには医薬品も水も供給されていない」とし、イスラエル側の人道問題も指摘した。
さらに、「米国は今、ウクライナ問題、ガザを実効支配するイスラム組織ハマス・イスラエル問題にリソースを取られており、比のことは忘れているかもしれない」と指摘。「国防は米国のみに頼ることはできない」とし、政府に対し、防衛費を増加し自衛力の強化に取り組むよう提言した。(竹下友章)