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8月12日のまにら新聞から

マニラ湾での埋め立てを凍結 環境破壊や中国企業の関与で

[ 1122字|2023.8.12|社会 (society) ]

マルコス大統領がマニラ湾沿いで進められている埋立事業を全て一時凍結すると表明した

 マルコス大統領は7日、洪水被災地の視察でブラカン州を訪問した際、マニラ湾で進められている埋め立て事業を一つを除きすべて一時凍結するよう指示したことを明らかにした。

 多数の埋め立て事業がブラカン州を含むルソン地方中部や首都圏で頻発する洪水被害の要因の一つになっていると指摘されていることや、今月1日に在フィリピン米国大使館が、南シナ海の環礁を軍事基地化する事業などに関わったとして米国からブラックリスト指定を受けている中国交通建設(CCCC)が埋め立て事業に関与していると比政府や関係者に注意を促す声明を出したことなどを受けた措置とみられている。10日付英字紙インクワイアラーが報じた。

 大統領はブラカン州の自治体首長らを集めた会合で「再調査を終えた一つの事業を除き、すべての埋め立て事業が一時凍結され、今後再調査を受ける。これら事業の多くは適切に施行されていない」と理由を説明した。

 また「これらの事業がすべて実施されれば多くの河川がマニラ湾に注ぎ込むことができず途中でふさがってしまう」と深刻な環境問題に発展する可能性を示唆した。

 今回の大統領の表明に先立ち、アントニア・ロイザガ環境天然資源相は国内外の専門家からなる調査チームを8月中に立ち上げ、マニラ湾での埋め立て事業に関する「累積影響評価」調査を実施すると発表している。

 同省などによると、マニラ湾では現在、マニラ・ウォーターフロント・シティー建設事業(埋め立て面積165ヘクタール)、ニューマニラベイ事業(同401ヘクタール)、ホライゾンマニラ建設3事業(それぞれ約130~140ヘクタール)など22カ所で工事が進められている。

 一方、国内環境保護団体「アリヤンサ・ティギル・ミナ」は9日までに、「埋め立て一時凍結表明を評価する」と歓迎した上で、単なる表明だけで終わらせず、環境天然資源省や港湾庁に対する大統領命令として書面で通達するよう求めた。

 また、国際環境保護団体OCEANAはマルコス政権に対し、マニラ湾だけでなく、すべての埋め立て事業を中止するよう求めた。

 同団体によると、2月末時点で全国で計52カ所の埋め立て工事が進められている。

 パラワン州北部のコロン島で進められていた工事では、大規模な環境破壊や不正な行政手続きなどの問題が発生したため、昨年事業中止命令が出された。

 一方、エヘルシト上院議員は9日、「大統領の表明を100%支持する」としたものの、「(9日に)マニラ湾沿いを通ったが、まだ複数の浚渫船が沿岸沿いで砂利を流し込んで埋め立て作業を続けていた」と述べ、実際には工事が続けられている可能性を指摘している。(澤田公伸)

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