コロナ禍超えて再開へ 比日の垣根越えたステージ
マカティ市のRCBCビルでマニラ日本人会主催の第6回文化祭が開催された
首都圏マカティ市のRCBCビル内のホールで23日、新型コロナ以前の19年を最後に実施が見送られてきたマニラ日本人会主催の第6回文化祭が開催された。プログラムは第1~3部に分かれ、フィリピン在住邦人を中心とした「マニラ日本人社交ダンス部」による世界レベルの社交ダンスや、「フィリピン住みます芸人」ほりっこしさんによるコメディーをはじめ、本格的な音楽演奏や合唱、ダンスなど比日の垣根を越えたステージが展開された。
ホール1~3階の計450席は日本人や比人でほぼ埋まった。出演者には子どもも多く、出番前に保護者と共に楽屋へ向かう姿も見られた。また、司会を務めたマカティ市・オレンジフィットネスのグローバル・パーソナルトレーナーであるマブーティ章太さんとSENAさんは、「直前まで変更も多く、台本をもらったのは今朝だった」とハプニングを力に、イベントを盛り上げた。
冒頭の挨拶の中でマニラ日本人会の高野誠司会長は、同会が主催する「スポーツ大会や盆踊り大会など、屋外のイベントが昨年から再開してきた」とした上で「屋内イベントである文化祭も4年ぶりの開催」と喜びを口にした。
日本国大使館の花田貴裕公使兼総領事は「今朝の主要英字紙で日本特集を見た方もいらっしゃると思う」とし、さらに「1956年に国交が正常化してから67年を迎えた」と述べた。比日間で平和条約および賠償協定が発効した7月23日は「友好の日」とされる。また「日ごろの練習の成果を存分に発揮し、友好を深めるこの上ない機会になるように」との思いも伝えた。
ステージに登場したのは計13団体で、マニラ在住の日本人バンド「マニラエクスプレス」(Mex)と、その姉妹アイドルグループの比人3人組「Trilight(トライライト)」は日本のポップスを披露。Mexはマニラでの生活を歌詞に込めたオリジナル2曲も歌った。マニラ室内合奏団はピアノ2人が入れ替わり、バイオリン1人と共にセザール・フランク、ヨハネス・ブラームス作の楽曲を演奏し、会場をクラシック色に染めた。
ストリートダンスのダンスアカデミーである「リブダンスアカデミー&エンターテイメント」、そしてジャズダンス・グループの「ドリームガールズ&ボーイズ」は子どもたちを中心に、元気いっぱいでクールなダンスを披露し、会場に熱気を振り撒いた。マニラ日本人会の女性コーラスグループ「ラ・メール」と2003年から活動を続ける男性駐在員を中心としたコーラスグループ「マニラグリークラブ」も、それぞれの発表に加え、共に合唱する場面もあった。
▽再開はステージから
今文化祭のリーダーを務めた岡本浩志さんによると、前回2019年には同ホールでのステージの他、ロビーでも物品販売や展示が行われていた。それが今年はステージのみの再開となった。「準備は3月ごろから始まり、バンド演奏は今回が初で、機材など大変な点もあったが、派手にオープニングで出てもらえて良かった」と話した。
4歳になる娘が出演したリブダンスアカデミー&エンターテイメントの発表を家族で見に来ていた志賀優一さんは、「日本人コミュニティーがフィリピンでいろんな活動をしていることに驚いた」。そして「娘が3カ月間通い続けて練習していたので、その成果が見れて、父親としてちょっと誇らしく思えた」とはにかんだ。
マニラに来てからフラダンスチーム「マナワレア」を通じてフラを習い始め、2年が経つという田中琴葉さん(13)は、「今はすごくうまくできてよかったな、という気持ちでいっぱい」と達成感を口にした。週1度の練習で、今回の発表に向け、3カ月程練習を続けてきたという。田中さんは「次はもっと上手に踊れるようにがんばりたい」と目標を語った。(岡田薫)