「楽しく仕事している姿見た」 日系事業所での職場体験を発表
マニラ日本人学校で、中学部3年生による日系事業所での職場体験の発表会が行われた
首都圏タギッグ市のマニラ日本人学校(MJS)で13日午後、中学部3年生を対象に5月23、24日に実施された日系事業所での職場体験の発表会が行われた。職場体験には同学年の計15人が参加したが、そのうち13人が発表し、職場体験後に転校してきた女子生徒1人が、直前まで通っていた日本の中学校を紹介した。
今回7事業所を訪れたグループ(1~4人)が、それぞれ各事業所から見学に来ている関係者や教員らを前に、写真や文章をスクリーンに映し、発表を聞く側に質問を投げかけるなど、趣向を凝らした発表を行った。
国内外から年間6万人の患者が訪れるというアジアン・アイ・インスティチュートは、体験した女子生徒によると、「フィリピンで最も質の高い医療技術を持つ総合眼科」。体験初日は渋滞がなく「40分以上早く到着してしまい、少し焦った」が、約30分の説明後に手術の見学へ。午後には建物を回り、自身の目の検査を行ったという。2日目には患者の管理室と質疑応答室を、午後にはファイルや薬が保存される部屋を見学したことなどを発表した。
過去の患者全ての情報が納められている保管室を見学した際には「アジアン・アイで最初の患者さんが、私と同じ誕生日だったと聞き運命を感じた」ことや、多くの高額な機器を目にし、実際に視力検査をしてみると、「眼鏡を作った方がいいと言われ、ショックだった」などと話し、会場の笑いを誘った。
男子生徒2人のグループは、創立86年になる比日本通運での体験を発表。初日はラグナ州のコンテナ中継地点の見学や、倉庫内の作業を体験。長さ12メートル、幅2・4メートル、高さ2・5メートルのコンテナの重さが象4頭分に匹敵することや、鍵の外し方などを見学した。
2日目は膨大な服が段ボールで保管されているベテラン倉庫、そして航空貨物について学び、「ロジスティクス(総合物流)」の概念も学習。「昼休みに弁当を食べる僕たちは最前線にいて、弁当を作ってくれるお母さんたちがロジスティクスの役割」と例えた。今回の体験を終え、同グループは「一日中働いたわけではないのに、とても疲れた。社会人の方々のように長時間動けるようになりたい」。また「効率の重要性、仕事の過酷さがあっても、楽しく仕事している姿を見た」とも総括した。
▽食べ物作りに熱中
女子生徒2人のグループは、初日はパティスリー・ベベ・ルージュ、2日目はその隣のニューはっちんに通った。ベベ・ルージュではパン・クレープ・シュークリーム作りを体験。あんぱんやロールパンを作った際、「生地をのばしてロール数を増やす時、伸ばし過ぎると切れてしまうので、力加減が難しかった」とし、クレープ作りでも「生地を流してトンボで薄く円の形に伸ばしていくのが難しかった」と振り返った。
ニューはっちんでは餃子を包む作業を体験。「閉じた時にバナナの形にすることで一番おいしく揚げることができる」と秘訣を明かした。「餃子の生産スピードが早く、包み作業が追いつかず大変だった」一方、コロッケ作りでは、パン粉を付ける係と転がす係を生徒2人で担当。計4人で作っていたため、「人数が多いと思うかもしれないけれど普通で、スムーズに進んで楽しかった」と話した。また、焦がしネギ作りも見学したという。
発表会ではトヨタモーター・フィリピンやオイスカマニラ日本語幼稚園、ケリー・プライマリー・スクール、まにら新聞といった職場での体験も報告された。職場体験後に日本からMJSに転校してきた女子生徒は、日々の礼拝、イースター礼拝、クリスマス礼拝もある日本の学校とMJSを比較。小学部時代に3年半を過ごしていたMJSに戻り、「当時の雰囲気が残っていてとてもなじみ易く安心した」と話した。(岡田薫)