医療同意権制度を開始 同性パートナーにケソン市 LGBTQ月間
ケソン市で同性パートナーに医療同意権を認める制度が開始
首都圏ケソン市で24日、LGBTQ(性的少数者)月間に合わせ比プライドフェスティバルが開かれ、参加したベルモンテ市長は同市で同性パートナーに医療同意権を認める制度「ライト・トゥー・ケア」の事業を開始すると発表した。25日の英字紙スター電子版が報じた。
これにより、同市のLGBTQ者は特別委任状を通じ専用カードの発行を受け、医療措置、手続き、検査、医薬品処方に関してパートナーが本人に代わり同意、不同意、同意取り消しの権利を行使することが可能となる。
登録された同性パートナーはまた、もう一方のパートナーの個人情報を知る権利、入院先の医療施設や担当する医師などを選択する権利が認められる。同制度は、まずケソン市が運営するケソン市立総合病院、ノバリチェス地区病院、ロサリオマクランバウティスタ総合病院の3医療施設から始まる。
ベルモンテ市長は「これまでパートナーが集中治療室に搬送された場合に処置の同意をすることができないとLGBTQコミュニティーから報告を受けていた。ケソン市ではLGBTQも同じ市民として尊重され、性的指向にかかわらずパートナーに重大な事態が訪れたとき共にいられるようにする」と述べた。
▽SOGIE法の制定を
進歩派政党アクバヤンは24日、性的指向、性自認、性表現(SOGIE)に基づく差別を包括的に禁止するSOGIE法を「23年前から提出し続けてきたが、いまだに実現していない」として、早期制定を呼びかける声明を発表した。
今国会では下院委員会で承認された同法案だが、上院ではジョエル・ビリャヌエバ与党院内総務が「公聴会で宗教団体関係者の声も聞くべきだ」などとして公然と反対。それに対し同党は「ビリャヌエバ議員は同法案を優先法案ではないというが、いま差別を経験している当事者、自分の子どもがSOGIEに基づくいじめに遭っている親、保守的で古い信念に合わないだけで殺された被害者の前でそんなことが言えるのか」と非難した。
下院版の同法案は、多様なSOGIEへの差別的行為を扇動する恐れのある侮辱や中傷に罰則を設ける内容。
同法案は、ケソン市で21年5月にトランス男性=出生児の身体的性が女性で性自認が男性=が性的暴行を受け殺害された事件を機に制定を求める気運が高まったが、いまだ制定には至っていない。(竹下友章)