最高峰社交ダンス大会で金14個 比代表の宮地正人さんペア
英国の社交ダンスフェスティバルで宮地正人さんペアが14種目で金メダルを獲得
「世界最高峰の社交ダンス大会」と言われる英国ブラックプール・ダンスフェスティバル(5月20日~6月2日開催)で、フィリピン代表として出場した宮地正人さん(73)ペアが、計14種目で金メダルを獲得した。66歳以上の部門もあるが、いずれも51~65歳の部門での優勝だった。さらに金14個獲得は日本人・比人の双方で「前人未到の記録」という。
宮地さんによると、英国ブラックプール世界大会の競技種目は、かなり細かく分かれている。ラテン5ダンスにおけるプロアマ競技の8試合(個人種目別7試合と個人総合1試合)に加え、ティーチャー・スチューデントによる競技6試合(個人種目別5試合と個人総合1試合)などがある。今回宮地さんは出場した種目すべてで金メダルを獲得した。
宮地さんは自身のSNSなどを通じて、連日リアルタイムで状況を更新。22日午後2時前(比時間)には、前夜の個人総合でも優勝し、個人総合・個別種目の計六つで優勝したとし、「昨夜のファイナルでは、生オーケストラで踊れて感動した」と報告していた。その前日の21日午後2時前には、前夜ラテン個人5種目(チャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブ)で優勝したことを明らかにしていた。
試合全てを終えた宮地さんは24日、「最後のプロアマの個人総合も金メダルを取り、無敗で有終の美を飾ることができた」と、比人コーチのジェラルド・ジャミリさん、宮地さんのペアでコーチの妻でもあるチェチェ・ジャミリさんへの感謝を綴った。また、まにら新聞に「やはりこれだけ金メダルを取れたのはジェラルドコーチに巡り会ったからですね。彼のレッスンを信じて彼と心中する思いでやってきました。フィリピンで彼と巡り会えて本当に良かった」と心境を語った。
▽「ダンスに国境なし」
54歳の時から比でダンスを始めたという宮地さん。今大会では「一緒に来ているフィリピン人たちに助けられている。フィリピンチーム最高」と話す。ブラックプールの世界大会で感じたこととして、「ダンススポーツと政治を完全に切り離している事ですね。『ディス・イズ・マサト』と呼ばれるだけで、『フロム・ジャパン』とは呼ばれないので、誰もが私をフィリピン人だと思っています。それでいいんです」と話した。
同大会にはウクライナやロシアからの参加者もおり、「ダンスに国境はないですね。ブラックプールではロシア人と米国人も仲が良いですよ」と明かし、金に輝いたことで「欧米アジアのいろんな人たちが話しかけてくれ、朝食ではテキサス州の米国人と話した」とその和やかなひと時にも触れた。
一方で「アジアから比較的多くの選手参加が見られたが、日本からの参加は少なくて不思議」との印象も語った。
1920年に始まったブラックプール・ダンスフェスティバルは英国・ブラックプールのウインターガーデンで、毎年5月下旬に開催され、世界で最も有名な社交ダンスの競技会とされている。新型コロナ禍から脱した今年は、計50カ国から参加。コロナ以前の19年には、56カ国から計2827チームがエントリーしていたという。(岡田薫)