重文の郵便局本部で火災 郵送システム全体に甚大な影響
重要文化財に指定されているマニラ市の郵便局本部で火災発生。建物の内部すべて焼ける
国の重要文化財に指定される郵便局本部=首都圏マニラ市=で21日深夜から翌22日にかけ火災が発生した。フィリピン郵政公社のルイス・カルロス総裁は「地下から5階まで全ての階に火の手が回った。建物自体は形を保っているが、内部は各フロアの天井も含め焼け崩れている」と発表。消防局は火災による損失額を約3億ペソと推計しており、郵便システム全体に甚大な影響が出ることが懸念されている。また、市民2人、消防士9人が負傷した。
カルロス総裁は会見で出火場所について「消防局から地下階からだと聞いている。ほとんどの記録は地下階に保存されていた」と報告。「データベースなど重要郵便システムがどれだけ影響を受けたか」という質問には「現時点では本部全体が影響を受けたという以上のことは分からない。手紙・小包など郵便物や切手などが全面的に影響を受けている」と回答。
郵便の日常業務への影響については、「本部機能を旧本部など他の事業所に移し、できれば数日以内に通常業務を再開したい」とした。
郵便局本部には配布予定の国民IDも保管されており、多くが焼失したとみられている。比統計庁は失われたIDの数を特定し再発行するとの声明を出した。
新古典様式の建築物として1926年から建設が始まったマニラ郵便局本部は第二次世界大戦を経て46年に再建。2018年に国の重要文化財に指定されていた。ズビリ上院議長とアンガラ上院財務委員長は建物修復のための予算措置を講ずるとしている。(竹下友章)