ごみ・農業問題に一石二鳥 有機性廃棄物堆肥化システム
岡田製作所とJICAがレガスピ市で生ごみ堆肥化技術の実証実験結果を報告。ごみ処理効率化と有機肥料供給を同時に行うソリューションを提示した
有機廃棄物の堆肥化装置を製造・販売する岡田製作所=本社・群馬県=と国際協力機構(JICA)は22日、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業「レガスピ市における持続可能な有機性廃棄物堆肥化システムの普及・実証事業」のシンポジウムをアルバイ州レガスピ市と共催した。
ごみ問題が深刻化する比では、環境固形廃棄物管理法=2001年成立=で自治体の責任が明記されており、ごみ処理責任を巡り行政訴訟も発生、自治体の対策は急務となっている。また、比で流通する高価格の化学肥料は農家に重い負担を強いており、代替肥料となる有機肥料が十分流通していないという課題がある。
本事業ではレガスピ市内の最終処理場で、家庭生ごみ、下水汚泥、畜糞尿等の有機廃棄物を岡田製作所のロータリー式発酵攪拌(かくはん)装置で発酵分解処理し、堆肥として農地へ還元する実証事業を実施。
厳しい環境規制で生み出された日本の有機廃棄物堆肥化技術は世界最先端であり、この技術を比に導入することで、有機廃棄物処理を効率化するとともに、生産された有機堆肥供給を通じた農業生産性向上に寄与する「一石二鳥」のソリューションを提供する。
シンポジウムでレガスピ市のカルメンジェラルディン・ロサル市長は「この事業で設置された堆肥化施設は、ビコール地方はもとより比国内で初めて。レガスピ市は固形廃棄物管理に長年取り組んでおり、レガスピ市でこの事業ができたことを誇りに思う」と述べた。
岡田製作所の鈴木郁男社長は「これまで日本で60年以上にわたり培われてきた堆肥化技術がフィリピンで実証できたことを大変嬉しく思う」と手応えを語った。
JICAフィリピン事務所の清水美佳子次長は「今回のレガスピ市での有機廃棄物堆肥化システムの成功を通して、他の多くの自治体にも広がり、ごみ処理問題や農業生産性の向上に寄与してほしい」と期待を寄せた。(竹下友章)