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3月11日のまにら新聞から

海保緊急支援団が到着 油流出事故対応で

[ 1151字|2023.3.11|社会 (society) ]

油流出事故への対応するため日本の緊急支援団がマニラに到着

表敬訪問後の記者会見を行う支援団長を務める在比日本国大使館二瓶公使(左)とPCGガバン副長官=10日、首都圏マニラ市で竹下友章撮影

 東ミンドロ州沖での貨物船沈没による油流出事故への対応を支援するため、日本の緊急支援団(国際緊急援助隊)が10日、首都圏マニラ市に到着した。今回の事故で海外から支援団を派遣したのは日本が最初。派遣された職員は、海上保安庁からは石油流出や危険・有害物質漏洩などの海上災害に対処する「機動防除隊」3人を含む5人、国際協力機構(JICA)本部から1人。これに在比日本国大使館、JICAフィリピン事務所の駐在職員2人が加わり、大使館の二瓶大輔経済公使が団長を務める。

 二瓶団長率いる派遣団は11日に現場に入る。日本から派遣されたメンバーは21日まで比に滞在する予定だ。同時に日本政府は、比政府と調整の下、油防除に必要な吸着剤、高粘度油専用捕獲剤、防油作業用手袋を供給する。

 今回沈没した貨物船プリンセスエンプレスの油積載量は80万リットル。対して、比史上最大の油流出事故であるギマラス島沖タンカー沈没(2006年)の際の流出量は50万リットルであり、過去最大級の油流出事故になる可能性も排除できない。今回の事故で、沿岸の住民6万5000人が影響を受けると推計されている。

 支援団は同日午後3時半ごろ、マニラ市南港の比沿岸警備隊(PCG)本部を表敬訪問し、ロニーヒル・ガバン副長官らPCG高官と面会した。

 ガバン副長官は会見で「JICAのPCGに対する支援は約20年前から続いており、PCGは日本と強い関係を持っている。韓国からの支援団派遣の調整も行われているが、日本が一番早かった」と述べ、感謝を表明した。

 その上で「PCGは2千人体制で取り組んでいる。沈没船は水深300メートルより深く沈んでおり、われわれの技術力では対処不可能。この部分への日本への支援を期待している」と述べた。

 二瓶団長は「沿岸住民と比の環境を守るため、できることはなんでもやる。今回は海保から機動防除隊の精鋭が来ており、その知見を活かして比当局と共に事故に対応する」と決意を述べた。挨拶の最後にフィリピン語で「日本は引き続き、揺るぎない支援を行う」と挨拶し、比人記者団やPCG隊員から喝采を浴びる一幕もあった。

 「大型の油防除装備品の供給や巡視船派遣の可能性はあるか」とのまにら新聞の質問に二瓶団長は「まだ現状把握の段階。今回の調査を踏まえ、どういった支援が必要かを見定めて、次なる支援の検討を行う」と述べ、今回の派遣団の調査に基づき、さらなる支援を行う意向を表明した。

 海保から派遣された小野太郎国際海洋汚染対策官は、今回の活動について「PCGの作業計画が適正かどうかを確認するなど比当局と共に現状把握を行う。油防除および海岸に漂着した油回収の効率化について助言・指導をしたい」と説明した。(竹下友章)

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