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2月24日のまにら新聞から

異例の大統領臨席 千人超参加の天皇誕生日祝賀会

[ 1295字|2023.2.24|社会 (society) ]

日本大使館が天皇誕生日祝賀会を開き、約1200人が参加。大統領が臨席

天皇誕生日祝賀会で乾杯するマルコス大統領と越川大使=大統領府報道班フェイスブックより

 在フィリピン日本大使館は22日、首都圏タギッグ市のシャングリラ・ザ・フォートホテルで天皇誕生日祝賀会を開催した。会場には、日本への公式訪問を終えたばかりのマルコス大統領が臨席した。式典には、ズビリ上院議長やロムアルデス下院議長、ジョクノ財務相など比政府要人や各国外交官、財界人、日系企業・団体などから約1200人が参加した。

 大統領が特定の国のレセプションに参加するのは極めてまれで、各方面から驚きの声が聞かれた。関係者によると、大統領の出席が決定したのは2日前。日本での天皇陛下謁見を経て、公式訪問を終えたばかりのタイミングということもあっての参加とみられるという。

 越川和彦駐比日本国大使はオープニングスピーチで、「フィリピンは日本にとってキーパートナー国」とし、特に日本とフィリピンの外交や経済、防衛面の協力関係を強調。家族旅行でボラカイ島に訪れたエピソードにも触れ、新型コロナ規制の緩和でようやく日本観光の門戸も開いたことで、文化や人と人の交流がさらに深まることにも期待を込めた。

 さらに、女子ゴルフの笹生優花選手や空手女子の月井隼南選手など日比ハーフで活躍する選手や、日本のプロバスケットボールBリーグでプレーする比人選手の存在にも触れ、スポーツ界における近年の日比関係や交流の深さにも言及した。

 大使はロシアのウクライナ侵攻など「世界は凄惨な状況下にもあるが、お互いに助け合うことで困難を乗り越えていこう」と述べ、天皇陛下の誕生日への祝辞で締めくくった。

 マルコス大統領はスピーチで、先の日本への公式訪問は「成功だった」と断言し、「1956年から築き上げてきた日比の協力・友好関係の強さはこれまでになく深い」と強調。インフラや経済、防衛だけでなく、ミンダナオ和平に関する日本のサポートにも感謝の言葉を述べた。大統領は「日本の皆さんの健康と平和、繁栄を願って、そして今後さらなる日比友好関係に、マブハイ、カンパイ」と乾杯の音頭をとり、越川大使と盃を交わした。

 レセプションに参加していた国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の坂本威午所長は「これまで各国の様々なレセプションに参加してきたが、大統領の来賓は前代未聞」と驚きを隠せない様子で語った。

 在フィリピン・インドネシア大使館職員の夫とともに参加していた在比歴2年半のノビタ・エンジさんは、日本の天皇陛下に対する印象は「古代から続く伝統と文化が受け継がれていて、洗練されているというイメージ」と話した。マレーシア国軍関係者の夫とともに参加していた、在比歴4年のムルニ・ノールさんは「フィリピンから日本への渡航はわずか4時間。最先端のテクノロジーと文化を見に、在比中に日本に遊びに行きたい」と話した。

 日比ハーフでマニラ日本人学校卒業生のツヨシ・ホリバタ下院議員=南カマリネス州第1区選出=は、まにら新聞に対し「フィリピンは自然が魅力で日本は安全で豊か。素晴らしい文化を持つ2つの国のハーフとして誇りに思っている。今後もお互いがウィンウィンの関係になれれば嬉しい」とコメントした。(深田莉映)

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