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2月22日のまにら新聞から

比の同業者ら向けの技術指導教室 日本の歯科医師や歯科衛生士

[ 1524字|2023.2.22|社会 (society) ]

日本の歯科医師や歯科衛生士による口腔疾患予防や治療の技術指導教室が開かれた

日本の歯科衛生士や歯科医師が開催した、比の同業者ら向けの口腔疾患予防や治療の技術指導教室=9日午前、首都圏マニラ市サンタメサ地区のウンシャノ大で岡田薫撮影

 首都圏マニラ市サンタメサ地区のウンシャノ大学で6~9日にかけて、日本の歯科衛生士や歯科医師による、比の同業者ら向けの口腔疾患予防や治療の技術指導教室が開催された。現役の歯科医師や歯科衛生士ら計45人が10日の実習に向け受講。日本人講師には歯科衛生士学校の教員、介護施設に歯科衛生士を派遣する会社を経営する歯科衛生士ら7人に、歯科医師も1人加わった。それ以外にもサポートの歯科医師が数人同行しているという。

 会場となった教室には9日、複数のグループに分かれ、講師らが教室内を回って、各グループで歯の模型や器具を示しながら、具体的な指導を行なった。受講者には歯科衛生士でありながらも、ナショナル大学やデオカンポ記念大学に所属して歯科医師を目指している学生の姿も見られた。

 歯科衛生士の仕事をパートタイムでこなしながら、現在デオカンポ記念大で歯科医師の資格を取るために勉強もしているマリアハナヘソサ・ディソンさんは、今回の教室に参加してみて、「有益な知識に満ちていて、日本の技術の高さを感じた」と話した。比では歯科医師のコースは5年間で「あと1年の辛抱」と言う。「日本人と結婚した比人の友人に招かれ、かつて日本にも行ったこともある」と笑った。

 ▽ロータリー財団が支援

 宮田歯科クリニック副院長で、今回の日本からのグループのまとめ役を担っていた宮田夏絵さんによると、ロータリー財団の海外への技術輸出支援の中から今回特別に歯科衛生士業務が選ばれていた。活動資金は同業務の要請を行なっていたフィリピン側のロータリークラブが負担する形で実現しているという。たまたま「マニラ側の同クラブの代表が歯科医師だった」こともあり、実現に向けた話が進んだ。会場がウンシャノ大に決まった経緯は「ここだったら機材が準備できる」と言われたためだった。

 宮田さんによると、口腔内の予防措置や歯石を取り除くなどが主な仕事の歯科衛生士は、日本では戦後に作られた制度だが、約100年前から存在していた。資格を得るには歯科大に2年間通う必要がある。「日本に歯科衛生士は約10万人いる」一方、「比では比較的最近できた制度のようで、全国でまだ45人程と聞いている」と話した。

 ▽初の同業者指導

 ウンシャノ大のアリエル・ゴー校長は、今回のロータリー財団による「今回のこの事業は特にフィリピン人歯科衛生士にとって、素晴らしいもの」と称えた。また「日本人歯科衛生士のチームがフィリピンに来て、同業者に技術指導を行なってくれるのはこれが初めてだと思う。将来的にフィリピン人歯科衛生士が日本を訪れ、より多くのことを学べる日が来ることを望んでいる」と述べた。

 ゴー校長によると、比では歯科衛生士の資格を取るには2年間のコースを終了後、半年間の復習期間を経て国家試験を受けることになる。それに対し、歯科医師の資格を得るには6年間のコースを終了後、1年間の復習期間が必要となることから、国家試験まで7年間の過程になるという。比日の両有資格者の違いとして、同校長は「フィリピンでは歯科医師の下で歯科衛生士が働く形だが、日本では歯科衛生士の下で歯科医師が働くこともある」と笑った。また「近い将来、歯科医院を設置する際は、歯科医師の下、歯科衛生士1人、歯科技工士1人がスタンダードとなる」見立てにも言及した。

 ウンシャノ大では現在、約600人が歯科医師コースに在籍しており、比全国では33大学、2~3万人の歯科医師予備人口がいる。一方、歯科衛生士になるべく学ぶ学生数は5千~6千人とまだまだ少ない。新たに歯科衛生士のコースを開校する歯科大学が増えているという。(岡田薫)

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