容疑者2人を強制送還 「ルフィ」らの公訴も棄却
今村、藤田両容疑者が日本に送還される。渡辺、小島両容疑者の訴訟はパサイ地裁が棄却
マニラ空港(ニノイアキノ国際空港)で7日朝、広域連続強盗への関与が疑われ、特殊詐欺の容疑で国際手配されている今村磨人(きよと)容疑者(38)と藤田聖也(としや)容疑者(38)の2人が連行され成田行きの日本航空(JAL)便に搭乗し、日本に強制送還された。
送還当日、両容疑者が収容されていた首都圏タギッグ市のビクタン入管収容所は朝から物々しい雰囲気。午前7時過ぎに、国家警察の白バイ2台と特殊部隊車両に先導されたワゴン車で空港まで護送された。ワゴン車はダミーと最後尾を走る警察車両含め5台投入された。
9時過ぎごろ、両容疑者は別々のワゴン車で飛行機のタラップ前まで護送された。2人は黒のTシャツに防弾ベスト、水色のハーフパンツにサンダル姿。右脚の膝から下に入れ墨を入れた藤田容疑者は、うなだれた様子で一歩一歩タラップを上がった。
両容疑者を護送する日本の捜査員は約15人。飛行中に容疑者の両脇に座る捜査員が逮捕したとみられる。
▽「ルフィ」きょう送還か
同日午前10時半ごろ、パサイ地裁でエルジュン・リコ弁護士は、広域強盗事件の指示役「ルフィ」とみられる渡辺優樹容疑者(38)と、小島智信容疑者(45)に対する刑事訴訟が「棄却された」と発表。同11時ごろ、司法省のクラバノ報道官もその事実を確認した。
リコ弁護士は渡辺、小島両容疑者の元パートナー2人の代理人を務め、女性・児童に対する暴力防止法(共和国法9262)違反で両容疑者を刑事告訴していた。
同弁護士は、棄却の判断に対し「原告が地裁に再審を求める動議を提出する意向だ」と述べており、送還可能かどうか不確定な要素も残るが、両容疑者は近く送還されると見込まれている。8日に日本へ出発するマルコス大統領と同日送還となる可能性もある。
▽右往左往
送還当日、午前6時台からマニラ空港は既に比日のメディア関係者で混雑していた。容疑者到着1時間前に予定されていた記者会見は1時間遅延。
容疑者の映像・写真を撮ることを主要目的として空港に集まったメディア関係者は、会見予定の一室の近くの廊下や窓から何か見える度に、右に左に移動。人が慌てて移動する様子を見て他の記者もわけも知らず追従し、結局何もないという出来事が繰り返し発生するという、「ルフィ」に振り回される比日メディアを象徴する混乱が見受けられた。
両容疑者はレムリヤ司法相が8時半ごろ1時間遅れで開いた会見の裏で密かに日本の捜査員に引き渡されたという。(竹下友章)