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1月25日のまにら新聞から

反共組織の解体求める ILO来比に合わせ活動家ら

[ 1355字|2023.1.25|社会 (society) ]

ILO代表団が反共国家タスクフォースと面会、人権活動家らが解体を訴え

NTF―ELCACの解体を訴える全国サトウキビ労働者組合のジョン・ロサンデ事務局長(手前右端)や教員組合政党ACTのブラジミール・カトゥア首都圏委員長(手前左端)ら=24日午前9時半過ぎ、首都圏マカティ市のマカティ・ダイヤモンド・レジデンスで岡田薫撮影

 首都圏マカティ市で24日、フィリピンを訪問中の国際労働機関(ILO)のハイレベル代表団(HLTM)が、人権活動家らへの「赤タグ付け」で知られる「共産主義勢力との武力紛争を終わらせる国家タスクフォース」(NTF―ELCAC)などの代表と面会した。それに合わせ同日午前、人権活動家や労働組合員ら約100人が会場のマカティ・ダイヤモンド・レジデンス前で、NTF―ELCACなどへの抗議活動を行った。

 開店前で通行人はまだ少なかったが、ショッピングモールのグリーンベルトに面した同レジデンス周辺には、国家警察や特殊部隊の車両が駐車。盾を構えた機動隊がレジデンス前に陣取る形で隊列を組み、到着した集会参加者を迎えた。労働者団体「5月1日運動」(KMU)や女性政党ガブリエラ、フィリピン学性キリスト教運動(SCMP)など集会参加者は、NTF―ELCACの解体やHLTMによる公正な実態調査を求めていた。

 全国サトウキビ労働者組合(NFSW)のジョン・ロサンデ事務局長は「このレジデンスの中では今、HLTMが内務自治省、国家警察、国軍、そして何よりもNTF―ELCACへの聞き取り調査を行なっている」とし「私自身、国家による暴力行為の被害者の一人だ」と話した。2019年10月末に西ネグロス州バコロド市の人権団体事務所が警官らに急襲され56人が一斉逮捕された事件では、ロサンデ氏も違法銃器所持などの容疑で逮捕された。保釈後も殺害予告が届き、21年2月に容疑が晴れた後も、命の危険からネグロス島を離れ、首都圏での生活が続いている。

 ロサンデさんによると、ドゥテルテ政権以降、NFSWのメンバーは16人が殺害されている。主に「ドゥテルテ政権下で殺害された彼らの正義はいまだに実現されていない」とし、頭上に2017年1月20日に銃撃されて死亡した同州ムルシア町支部のアレクサンダー・セバリョスさんの写真を掲げた。

 ▽教員にも赤タグ付け

 教員組合を基盤とする政党ACTのブラジミール・カトゥア首都圏委員長は、まにら新聞に「HLTMの比での調査は非常に望ましい」と歓迎を表した。同委員長によると、2018年以降、教員メンバー38人が「共産主義者」「テロリスト」といった赤タグ付けを受け、教員逮捕者も37人いる。

 同委員長は「北部ミンダナオ地域のACT委員長も国軍から身に覚えの無い容疑を掛けられ、起訴されている。わたし自身も2020年に首都圏で無数見つかった張り紙の中で『赤タグ付け』を受けた」と明かした。

 また2018年11月には、ACT全国委員長のフランス・カストロ下院議員らが、ミンダナオ地方で国軍から度々嫌がらせを受けていた先住民コミュニティーから子どもらを保護した帰路に、設置されていた検問所において未成年者誘拐容疑で逮捕されている。

 中部ルソン地域では、今年の選挙時に国軍や警官が住民の自宅を訪ね、ACTに投票しないようとの圧力を加える露骨な嫌がらせも発生していたという。

 こうした事実に即してカトゥア委員長は「われわれの要求は、NTF―ELCACの設置を規定した大統領令第70号の廃止、そして前政権から現在も継続されている国家による人権侵害被害者への正義だ」と語った。(岡田薫)

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