「思いやりを大切に」 MJSへの転入生60人越える
首都圏タギッグ市のマニラ日本人学で2学期の始業式が行われた。転入生62人を迎える
首都圏タギッグ市のマニラ日本人学校(MJS)で22日、2学期の始業式が行われた。転入生62人が新たに加わり、全校生徒数は約280人まで回復、送迎バスも復活した。
4週間の夏休みを終え、午前7時ごろ、生徒を乗せた車が続々と正門から入る中、送迎バス2台も定時に裏門から到着。1台につき児童・生徒45人まで乗せられる同バスはマカティ、タギッグ両市内のピックアップ地点を1時間程かけて回り、MJSに到着した。
MJSの梶山康正校長によると、全校生徒数が約400人に達していたコロナ以前は、送迎バス9台が走っていた。今回バス運行会社を替え、保護者は携帯アプリを通じてGPSを搭載したバスの現在地をリアルタイムで知ることが可能になったという。バスの到着を見守っていた梶山校長は「本当に良かった。保護者による送り迎えの負担も減る。バス会社との手続きには多くの時間を要するが、今後も増やしていきたい」と語った。
また始業式前、転入生62人は各教室でクラスメートと対面。転校生は全学年全クラスに散らばっており、最も多かった小学部2年の2クラスには、各8人ずつが入り、1クラス25人前後の編成となっている。
小学部1年の3クラスにも、それぞれ4人、3人、5人と転入生が入り、慣れない教室で後方にカバンを置く作業に苦心する姿も見られた。
▽思い出は回転寿司店
小学部1年2組に転入してきた女子児童に現在の心境を尋ねると「ドキドキしている」との答えが返ってきた。また、1学期をMJSで過ごした同クラスの男子児童は、始業式で「校長先生がなにを話すかが楽しみ」と期待に胸を膨らませていた。夏休み中のことを問うと「日本に帰国して、回転寿司店に行った」や「ボラカイ島に行った」と元気に話してくれた。
始業式では2学期の決意表明が行われ、小学部2年の女子児童は「人と仲良くする」、同3年の女子児童は「平泳ぎ」「リコーダーの音をきれいに出す」「家での手伝い」の3つを挙げた。中学部1年の女子生徒は「英検準2級への合格」「体力をつける」「漢字を正確に覚える」を目標に据えた。
梶山校長は「フィリピンでは感染者数が2千~4千人台を行ったり来たりし、影響はまだ続くだろう」として、公衆衛生の継続を呼び掛けた。一方で「教育省からは運動場と第2体育館(屋外)などでの運動時に、マスクを外す許可が下りた」とし「2学期からは体育でドッジボールができるようになるなど、できることは増えるので、楽しみにしていてほしい」と話した。
梶山校長は「一学期に感染した友達がいじめられることなく、すばらしかったと感じている。2学期も感染する友達がいた場合には、優しく温かい気持ちで接してあげて」とも呼び掛けた。そして思いやりの心を表す「恕(じょ)」という漢字が書かれた紙を手に「恕の心を大切に過ごして」との言葉を贈った。
転入生62人の大半は日本からで、中にはコロナ禍で長期にわたり日本に帰国していて、MJSに戻って来た児童・生徒も約10人いる。また、すでに拠点を日本に移してしまっているが、夏休み中に家族と比を旅行し、コロナ前まで子どもが通っていたMJSを懐かしんで、訪ねていた親子も数組いたという。(岡田薫)