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「夢に描いていた国に行ける」 JETプログラムのALTら 日本国大使公邸で歓送会

[ 1613字|2022.7.17|社会 (society) ]

首都圏マカティ市の日本国大使公邸でJETプログラムを通じて、渡日予定のフィリピン人英語教師ら計44人を招いた歓送会が開かれた

(上)日本国大使公邸に招待されたJETプログラムの外国語指導助手(ALT)ら/(下)国際交流員(CIR)として岐阜県美濃加茂市へ赴任予定のヘルナンデス・エドモンさん=15日夜、首都圏マカティ市で岡田薫撮影

 首都圏マカティ市の日本国大使公邸で15日夜、主に語学指導等を行う日本政府による外国青年招致事業であるJETプログラムを通じて、8月中旬に渡日予定のフィリピン人英語教師ら計44人を招いた歓送会が開かれた。招待された44人中、歓送会に参加できた英語教師ら42人が顔を合わせるのは、同日が初めて。午前中には、タギッグ市のマニラ日本人学校を訪れ、グループごとに各学年の英語授業を見学して回っていた。

 越川和彦駐フィリピン日本国大使は、ビジネススーツなどに身を包んだ英語教師らに向けて「世界中の才能に溢れた若者を日本の地域や学校へ招き、相互理解と国際化、そして母国との間の『文化大使』を担ってもらう」との同プログラムの趣旨を説明。「2019年以来開けなかった歓迎会に招待できた新たな一団」と称えた上で「日本の地域では英語があまり通じず、それほどおしゃべりとは言えない日本人や語学的な面での困難に直面すると思うが、できる限り日本語も学び、地域での相互理解に努めてほしい」と話した。

 JETプログラムには全体の90%を占める外国語指導助手(ALT)に加え、地方公共団体の国際交流担当部局等に配属される国際交流員(CIR)や、特定種目のスポーツ専門家として地方公共団体に配属されるスポーツ国際交流員(SEA)といった職種も若干枠用意されている。

 ALTとして北海道の小・中学校に赴任する予定のジェマリー・モントロさん(25)は「東京に近い場所として、希望する任地に『神戸』『京都』と書き込んだ」と打ち明けた。「けれども北海道に決まって今は嬉しい。寿司や鍋料理を堪能したい」とした上で「知的な友好関係を築きたい」との目標を挙げた。

 「ようやく夢に描いていた国に行くことができる」と喜びを伝えたクリスチャンポール・ハンダヤンさん(29)は神戸に赴任予定で「当初は幼少時代からの親友が住む岐阜を希望していた」と言う。マニラ日本人学校で児童らを見て「日本の子どもは規律正しく、とても可愛い。早く日本に行きたい」と語った。

 また、岐阜に行く予定のジェイソンレイ・マキリンさん(32)は、3年前に結婚した日系フィリピン人の妻、そしてまだ見ぬ3歳の子どもと岐阜で家族再会を果たす。マキリンさんは2013〜17年にかけて、フィリピン日系人会国際学校(ダバオ市)で日本語を教えた経験があり、日本語でのコミュニケーションへの自信も覗かせていた。

▽唯一の国際交流員

 「日本料理は最高」というヘルナンデス・エドモンさん(35)は、唯一のCIRとして岐阜県美濃加茂市に赴任する予定だ。2006年のデラサール大卒業後に埼玉県入間市に滞在し、日本語を無料で学べた機会が日本との出会いとなった。「初めて日本語を教えてくれた年配の日本人夫婦の親切さは決して忘れない」と振り返った。

 その後天然ガスを運ぶ船舶の乗務員として、主にマレーシアと日本の間を行き来。2015〜18年までは技能実習生として静岡市で3年間の就労も経験した。最近の約2年半は日本語教育に携わり、日本語能力試験のN2取得者でもある。エドモンさんは「JETを終えた後も、日本社会でこれまでの経験を生かして生活していきたい」との思いを述べた。

 日本大使館の同プログラム担当者によると、同プログラムを通じて比から日本へ行く人数は、新型コロナ以前の2020年の70人まで、右肩上がりが続いていたが、新型コロナ禍で21年には32人へと落ち込んだ。今年は44人(男性18人、女性26人)と徐々に持ち直してきている。

 日本に赴任する外国語指導助手で最も高い割合を占めるのは米国やカナダ、英国、オーストラリア人であるが、近年比人教師の伸び率が最も顕著だという。任期は1年間だが、本人と赴任先の学校による同意があれば、最長5年まで延長が可能。3年以上滞在する例が多い。(岡田薫)

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