「はい」と元気な返事響く MJSで3年ぶりの対面入学式
マニラ日本人学校で3年ぶりに対面での入学式が行われ、全校生徒や入学児童・生徒とその保護者ら計250人ほどが参加
首都圏タギッグ市のマニラ日本人学校(MJS)で13日、第51回入学式が3年ぶりに対面で行われ、全校生徒や教職員、来賓、入学児童・生徒とその保護者ら計250人ほどが参加した。小学部21人、中学部23人は体育館のステージ上で1人ずつ名を呼ばれ、「はい」と力強く元気な声を響かせた。前日に全校生徒が参列して行われた対面の始業式では転入生31人を新たに迎えており、全校生徒数は50人近く増えた。
MJSの梶山康正校長は「在校生や卒業生、マニラ在住の日本人社会の人々から親しみを込めて『MJS』と呼ばれている」とし「MJSに来ると誰もが優しくなるという『MJSマジック』」の存在を紹介した。こんな子どもに成長してほしいという三つの抱負「やさしく、かしこく、たくましく」に加え「はい、ありがとうございます、すみません」という言葉が持つ意味にも触れた。
在フィリピン日本国大使館の岡島洋之公使兼総領事は、入学児童に「どうして勉強をするのか」との問いを発し「勉強しなければいけないからではなく、勉強できるようになったから」と諭した。中学部の生徒向けの課題として、国連の世界幸福度ランキング2022年度版で比が146カ国中60位、日本が54位だった結果から「フィリピンと日本をよく知ることになるみなさんに、両国の幸福度がそこまで違わない理由を探してみてほしい」とも述べた。
中学部3年の丸田蓮さんは児童・生徒を代表して、入学時の緊張や不安は一時的なものであり「すぐになれる」と自身の経験を交え、「分からない時は何でも質問してほしい」と呼び掛けた。その上で「様々な楽しいこと、たとえばプールや動物園に行ける遠足、歌や劇を練習して発表するフェスティバル、かけっこや玉入れをする運動会が待っている」と学校生活における醍醐味(だいごみ)を伝えた。
▽「友達がいて楽しい」
晴れて小学部1年生となった須田和瑚さんは、まにら新聞に「うれしい。友達がいて楽しい」と率直な思いを伝え、昨日はよく眠れたかを問うと「なな時(午後7時)に寝てよん時(午前4時)に起きた」と答えた。入学式前に親からは「がんばって」と声を掛けられたことも明かした。
小学部から中学部に進学した藤澤遼さんは「これまでは気持ちが軽かった。でも中学部になって、ちゃんと勉強しないと」と心配が入り混じった心境を語った。「たくさんの転入生の友達とも仲良くやっていきたい」とも話した。
また、小学部1年生になった美月さんのお母さんは、娘の入学式が対面式であったことに喜びの気持ちを表した。美月さんはタギッグ市内にある日系の幼稚園に通っていたが、「新型コロナでオンライン越しの幼稚園だった」。それでも「幼稚園も子どもが飽きないようよく工夫してくれていた」と感謝の気持ちを述べていた。
▽「良い方向に」
梶山校長によると、新型コロナ下で146人まで減少したMJSの児童・生徒数は入学式を迎えて191人へと増加した。コロナ以前の455人のレベルにはまだ遠いが、転入の問い合わせもあることから「良い方向に向かっている」と喜びをにじませた。来年度開設を目指して専門の教員2人を迎え、特別支援学級の準備も進めているという。
聖週間明けの18日に開始となる授業は全て対面に戻り、「オンラインと組み合わせたハイブリッド型授業を行う必要はなくなった。それでもいつ感染が増えても対応できるよう、今回着任した教員向けのオンライン授業研修を行っていく」としている。反対に「MJSで2、3年目の教員はオンラインに慣れているが、対面感覚を取り戻す時間は必要だ」とも話した。(岡田薫)