第二次世界大戦の歴史を大学講義要項に
第二次世界大戦の歴史を大学で広く教えるための新たな講義要項を高等教育委員会が作成した
退役軍人事務所のカロリーナ次官は9日、各大学の歴史の講義について、第二次世界大戦に関する包括的な歴史を加えた新しいシラバス(講義要項)を高等教育委員会が作成したことを明らかにした。
これまで大学の教養課程などで教えられる歴史の内容としては、スペイン植民政庁からの独立を目指したフィリピン革命やその後の比米戦争などについて教えることが中心となっており第二次世界大戦についてはほとんど触れられて来なかったという。まだ当時のことを知っている退役軍人が生きており、彼らのことを顕彰するためにも日本占領期を含む第二次世界大戦の歴史を後世に伝えることが大切だとの認識が教育関係者の間で強まっていることが背景にありそうだ。
同次官によると、高等教育委員会が今回シラバスを作成するにあたり米国の国立公文書館が所蔵しているものを中心に大量の参考資料が収集されたという。これらの資料の3分の2はデジタル化されており、同資料を基にフィリピン人の視点からみた第二次世界大戦の歴史に関する教科書作成が進められているという。
現職の歴史の教授でもあるデベラ高等教育委員長は「参考資料がなかったため第二次世界大戦に関する歴史はこれまで教えることができなかった」と個人的な経験を回想している。
一方、下院でも大学レベルの歴史教育で第二次世界大戦をトピックとして教えることを義務付けるようロマン・ロムロ下院議員が提出した下院法案第8250号が、本会議で承認されている。ただし、上院審議ではジョエル・ビリャヌエバ上院議員が提出した同様の法案が承認にいたらないまま閉会となっている。これら2人の議員らは統一選挙の後に第19回議会が開会された時に再び同じ法案を提出することを約束している。(澤田公伸)