今年は過去最大の8900人参加 比米合同軍事演習「バリカタン」
3月28から4日8日かけて比米合同軍事演習「バリカタン」が実施される。参加人数は8900で過去最大
比国軍はこのほど、比米合同軍事演習「バリカタン」を3月28から4日8日にかけて実施すると発表した。比国軍から3800人、米軍からは5100人が参加し過去最大規模となる。ドゥテルテ大統領は2020年2月に訪問米軍地位協定(VFA)の破棄を宣言、同年のバリカタンは中止されるなど比米軍事関係は一時冷え込んだが、任期最後に最大規模の合同演習が実現する見込み。
米国は対中国においてフィリピンが重要な要衝の地だとみており、21年3月以降コロナワクチンを大量に寄贈し続けたほか、同年7月にはオースティン米国防長官が比を訪問し、VFAの存続を確保できた経緯がある。ドゥテルテ大統領も最近、ロシアによるウクライナ侵攻の影響がアジアに波及した場合、「米国がフィリピンの軍事施設を利用できるようにする用意がある」と発言したとされる。
今回の合同軍事演習では、海上警備、陸海協同作戦、実弾演習、市街地作戦、航空作戦、対テロ作戦、人道支援、災害救助の共同訓練を実施。また、比米両軍の計画策定、実戦能力、連携能力を向上させるための図上演習も行われる。
米海兵隊第3師団のバルヘロン師団長は「バリカタンでは、比米両軍が現在の世界情勢の変化に即応するために戦術、技術、手続きの共有を深める」と述べた。
1991年に始まった比米年次合同軍事演習バリカタンは95年に訪問軍の法的地位を巡る問題により廃止。1998年に訪問米軍地位協定が結ばれたことで99年から再開された。比米合同演習の中では最も規模の大きな象徴的演習となっている。(竹下友章)