副大統領「エドサは愛の物語だ」 ケソン市や各地で反マルコス集会
アキノ政変(エドサ革命)から36年。首都圏ケソン市など各地でマルコス家による圧政が復活することに警鐘を鳴らす抗議集会
アキノ政変(エドサ革命)から36年を迎えた25日、首都圏ケソン市の英雄記念碑前など各地で、大統領候補者のボンボン・マルコス元上院議員の当選を危惧し、父親の故フェルディナンド・マルコス元大統領の政権下における圧政が再来することに警鐘を鳴らす抗議集会が開かれた。
一方、ドゥテルテ大統領はマルコス政権の崩壊を導いた1986年の「エドサ革命という平和的遺産を守り続けてきたフィリピン人を称える」との声明を発表した。「民主主義を取り戻すための革命は36年後の今でも鮮明な記憶として残っている」とし、災害時の救援活動に当たる国家公務員やボランティアが体現する「ヒロイズムや無私、思いやりの精神を見習うよう」求めた。
ロブレド副大統領も同日、「エドサの日の精神は、解放の夢のために立ち上がって闘った若者や老人、兵士の銃の前で祈る聖職者やロザリオがかけられた銃を手に涙を流す兵士らの愛の物語でもある」。また「エドサの精神は生きている。苦しむ友人や人々を助け養い、より良い社会を目指し、正直な政府を実現させようと長期にわたり努力を重ねてきた人々からそれを確認することができる」との声明を出した。
人権団体カラパタンはボンボン氏とダバオ市のサラ・ドゥテルテ市長による正副大統領ペアを「独裁者の子どもたち」と称し「この国の最も腐った非民主的、反人民的勢力の結束にほかならない」と警告。カラパタンのクリスティーナ・パラバイ事務局長によると、マルコス政権下での残虐行為を認知する法の制定や被害者によるハワイでの集団訴訟、マルコス家の汚職と不正蓄財に関して、複数の有罪判決が既に下っている。そうした過去についてマルコス家は嘘に嘘を重ね、「繁栄」「平和と秩序」「黄金時代」との偽情報を流し歴史歪曲を続けてきたという。
同事務局長は「21年もの独裁政権の末に起きたエドサ革命は、国民の団結による独裁者打倒を明確に示した。われわれは5月の投票だけでなく、専制政治とファシズムに対し、マルコス復権とドゥテルテ政権延長に向けたあらゆる動きに、徹底的に戦うことを誓う」とした上で「歴史を忘れはしないし、再び逆戻りさせてはいけない」との強い意志を示した。
1986年のエドサ革命では2月22〜25日までの4日間、首都圏の主要道路「エドサ」を多くの市民が埋め、20年に及ぶマルコス独裁政権を無血で崩壊させた。1983年に上院議員の夫を暗殺されたコラソン・アキノ氏が25日に大統領就任を宣言。マルコス氏は同日中にクラーク米空軍基地に移動し、翌26日に米ハワイへ亡命した。(岡田薫)