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欧州議会「比は反共機関解体を」 特恵関税取り消しも提起

2022/2/21 社会

欧州議会は比の超法規的殺害や赤タグ付けの即時停止を求める非難決議を採択した

 欧州議会は17日、ドゥテルテ政権が推進する麻薬撲滅政策(麻薬戦争)で行われたとされる超法規的殺害や、政府に批判的な活動家などを「共産主義者」「テロリスト」として公安当局が監視下に置く「赤タグ付け」など人権問題について比政府を非難する決議を採択した。決議には「共産主義勢力との紛争を終わらせる国家タスクフォース」(NTF-ELCAC)解体の要求と、比への特恵関税を取り消すよう欧州委員会に求める内容も盛り込まれた。

 20日の英字紙インクワイアラー電子版などによると、決議は比政府に対し「直ちに麻薬取引の容疑者に対する暴力と人権侵害を終わらせ、人権・環境活動家、ジャーナリスト、労働組合員に対する共産主義者のレッテル貼りを停止するように」と要求。

 また、昨年ノーベル平和賞を受賞したマリア・レッサ氏と、現政権下で麻薬取引関与の罪で収監されている麻薬戦争批判の急先鋒デリマ上院議員への政治的弾圧を止めるよう求めた。

 2020年7月に制定されたテロ防止法については、同法とその施行細則の改定を要求。同法は昨年12月、テロとみなされない行為を列挙した4条の一部について、最高裁からテロの定義を拡張し自由を侵害する恐れがあるとして、一部違憲判決が出ている。

 さらに同議会は5月の統一選挙にも言及し、比政府に、「公正で自由な選挙にするための一層の努力」を求めた。本会議でアイルランドのショーン・ケリー議員は「比では選挙運動が始まりフェイクニュースがあふれている」と発言。「『独裁者』マルコス元大統領の残虐行為をなかったことにしようとしているボンボン・マルコス候補が世論調査でトップに立っている」と懸念を表明した。

 麻薬捜査中の容疑者殺害は21年12月時点の公式統計で6215件に上る。現在、司法省と国家捜査局によって再調査されており、政府は52件を「不当殺害」と認定。うち4件に関与した警官らが既に刑事訴追されている。

 ▽特恵関税取り消し

 欧州議会はEUの政策執行機関である欧州委員会に対し「比政府が人権問題を相当程度改善する意志と取り組みを示さない場合、直ちに比に対する特恵関税国指定を一時的に取り消す手続きを開始する」よう要求。

 これを受けロペス貿易産業相は「欧州議会の議員の何人かは誤った情報を信じている。決議の内容には事実確認がされていないものも含まれる」とし「比政府は引き続き欧州議会に事実を報告していく」と述べた。

 欧州連合(EU)は2014年からフィリピンを、持続可能な開発や人権保障に関する国際条約を批准・準拠している低所得国・下位中所得国への特権関税(GSPプラス)の対象国としてきた。GSPプラス適用で、比からEU加盟国への輸出品約6200品目が現在、関税ゼロとなっているが、もしこの適用が撤廃されると比のEU向け輸出に大きな影響が出る。

 欧州議会はドゥテルテ政権下の人権問題を非難する決議を2016年、17年、18年、20年にも採択している。(竹下友章)

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