1年半ぶりに映画館再開 マカティ市では一部閉鎖のままも
防疫措置が敷かれた2020年3月以来、首都圏では一度も再開されていなかった映画館が、16日からの防疫警戒レベル3への引き下げに伴い、1年半ぶりに再開された。一方で、複数の映画館は閉鎖したままだった
新型コロナ対策として防疫強化措置が敷かれた2020年3月以来、首都圏では一度も再開されていなかった映画館が、16日からの防疫警戒レベル3への引き下げに伴い、1年半以上ぶりに再開された。しかし、マカティ市の幾つかの映画館は閉鎖が継続していた。
新型感染症省庁間タスクフォース(IATF)は、これまで修正一般防疫地域(MGCQ)でのみ、座席数を50%に限定しての映画館営業を認めていた。
しかし、首都圏での防疫緩和は、一般防疫地域(GCQ)止まりであったことから、野外駐車場などでの屋外スクリーン上映以外、認められていなかった。
政府は今年2月中旬に首都圏を含めたGCQでの、映画館や一部の文化・娯楽施設、商業活動の再開を認めることを発表。その後、映画館については首都圏の首長らが感染拡大の懸念があるとして強硬に反対、3月以降に見送られ、貿易産業省も指針を作成するなど営業再開に尽くしてきたが、結局撤回されていた経緯がある。
15日の英字紙マニラタイムズ電子版によると、IATFは今回、ガイドライン改定版で警戒レベル3における映画館営業を初めて容認した。ワクチン接種を完了した客が対象で、座席数は30%まで。1座席越しのソーシャルディスタンスに、マスク着用と食事禁止も加わる。一方、屋外の映画上映では50%と定員の許容範囲は高い。
▽再開準備の動きもなし
マカティ市チノロセス沿いの商業モール「ウォルターマート」5階にある映画館は17日、人気が無く再開を準備している気配すら感じられなかった。5階の飲食ブースで働く男性は「映画館のスタッフは長く見ていない。果たして再開するのかどうか分からない」と呟いた。映画を見に来たとみえる様子の客すら見当たらなかった。
グリーンベルト1の2階にある映画館も、同様に上映告知もなく、がらんとしていた。1階のチケット売り場にも人影すらなかった。正面で装飾品を売る女性は「再開するという話は聞いていない」と興味なさげに応じた。
首都圏ではすでに娯楽から映画館が消えてしまって久しい。その間にもネットフリックスをはじめ、月額で見放題の格安オンライン視聴のサービスが増えた。映画館がかつてのように再開したとしても、再び需要が戻ってくるのか、やや心配に感じた。(岡田薫)