「デルタ株拡大なら防疫強化」 回復者8人が再び陽性に
新型コロナのデルタ株感染が拡大すれば防疫措置を強化すると大統領が警告
ドゥテルテ大統領は19日の国営テレビの番組で、感染力が強い新型コロナのインド由来の変異種デルタ株が各国で猛威をふるっていることに言及し「今後、防疫措置をさらに強化しなければならなくなる恐れがある」と警告した。
大統領は「そうならないことを願う」としつつ、デルタ株による感染が拡大した場合、人々の移動や集会などを「厳しく制限しなければならなくなる」と防疫区分引き上げなどの措置を取ることを示唆した。
フィリピン保健省の20日までの発表によると、デルタ株に感染後、回復したとされていた患者を再検査した結果、8人が依然、陽性であることが分かった。16日に新たにデルタ株感染が判明した16人のうちの8人で、隔離中だったため濃厚接触者はいなかった。比では累積で35人のデルタ株感染者が確認されており、うち3人が死亡している。
デルタ株はアジア各国で猛威をふるっており、感染者が急増しているインドネシアでは感染者の90%、タイでは同77%がデルタ株感染者とされている。日本でもデルタ株の感染が増えているほか、ワクチン接種率が高い英国や米国などでもデルタ株による感染拡大で再び都市封鎖(ロックダウン)などに至る例が続出している。
フィリピンのデルタ株感染者は現状では少数にとどまっているが、新規感染者の一部に対してしかゲノム検査が行われていないため、実数は判明している数をはるかに上回っている可能性もある。(石山永一郎)