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3月12日のまにら新聞から

早すぎる幕引き 「処刑団」聴聞会

[ 731字|2017.3.12|社会 (society)|新聞論調 ]

 ドゥテルテ大統領の責任を追及できなかった上院委員会の姿勢には首をかしげざるを得ない。国家警察ダバオ市本部元警官のラスカニャス氏を召喚しての聴聞会はわずか1回で終了した。

 ラスカニャス氏はドゥテルテ市政時代に暗躍していたとされる「ダバオ市処刑団」の自称元メンバーだ。上院委員会のラクソン委員長は、ラスカニャス氏の殺害に関する証言は信ぴょう性がないと判断し、政治的思惑が見え隠れしていたことからも重視しなかった。

 ラスカニャス氏は「大統領は、長年にわたって月々10万ペソの報酬をくれた。最後にもらったのは今年1月だった」と発言した。何の思惑があって市長時代から毎月それほどの報酬が支払われたのか。特に大統領就任後の7カ月にわたって続いていた疑惑は見逃してはならない。

 もちろん証言の全てを真に受ける必要もないが、処刑団と大統領との結び付きを解明する何らかの糸口はつかめたはずだ。しかしながら上院委員会は「追及の価値がない」と判断した。

 委員会はそもそも、ラスカニャス氏と大統領との緊密な関係を立証するつもりではなかったのか。もし市長時代から20年以上関係が続いたのであれば、大統領に関する情報をラスカニャス氏からもっと引き出すべきだったのだ。

 ラスカニャス氏は殺害に関与していたと認め、その内実をつまびらかにしようとした。委員会はそれにも耳を傾けようとしなかった。大半の上院議員は「誰がその証言を裏付けるのか」と疑義を呈したが、上院で昨年証言した処刑団元メンバーのマトバト氏も実在する上、大統領自身も記者団の取材に対し、殺害に関与したことを認めたではないか。聴聞会を続行していれば実体をさらに浮き彫りにできたはずだ。(10日・インクワイアラー)

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