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長寿漫画、ブーム再燃 香港の「サザエさん」

[ 677字|2017.2.12|社会 (society)|アジア発 ]

 香港で半世紀以上にわたり愛されている短編漫画「老夫子」のブームが再燃している。いたずら好きのおじいさん、老夫子と仲間たちの活躍を描いた作品は台湾やシンガポール、マレーシアなどでも人気を集め「世界で1億冊」(地元紙)を売り上げた。中華圏の「サザエさん」ともいえる漫画の生みの親が1月に死去、惜しむ声が高まり再評価につながっている。

 作者の王家禧(おう・かき)さんは1925年に中国・天津で生まれ、56年に香港に移住。長男の名前「王沢をペンネームとし、60年代前半に連載を始めた。95年に創作を長男に引き継ぎ、先月1日、移住先の米国で亡くなった。

 訃報が伝わると、香港の街角の新聞スタンドでは単行本の売り切れが続出。開催されていた老夫子の特別展にはファンが押し寄せ、王さんの死を悼んだ。

 「兄弟姉妹や級友たちと1冊の漫画を一緒に読んだ。文字が読めない人でも楽しめた」。特別展を訪れた張智誠さん(63)は昔を懐かしんだ。

 多くの香港人にとって、作品は子ども時代の飲茶(ヤムチャ)の記憶と結びついているようだ。香港には週末に家族で飲茶に行く習慣があり、大人たちが世間話をしている間に買ってもらって読むのが老夫子だった。

 「老夫子は香港人の『集団的記憶』。読んだことがない人なんていないはずよ」と地元の主婦、林麗?さん(38)。林さんの娘(8)は「ママが読んでいた古い漫画だと知っている。とても面白い」と話す。

 映画もつくられ、昨年には作品をモチーフにしたレストランも登場した。老夫子は世代を超えて香港人の心に生き続けている。(香港共同)

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