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バングラデシュのリキシャ絵 衰退の危機に直面

[ 712字|2017.2.5|社会 (society)|アジア発 ]

 バングラデシュで庶民の足として親しまれる自転車タクシー、リキシャ。その車体に描かれる映画スターなどの手書きアートが、衰退の危機にある。映画館の看板画家の副業として広まったが、看板が写真に取って代わられて画家が急減。画家たちは、海外向けの芸術作品として伝統を守ろうとしている。

 「手書き絵なら1枚1500タカ(約2100円)だが、印刷なら4分の1。仕事はなくなっている」。首都ダッカ旧市街。画家のテッカ・メアカルさん(45)はため息をついた。長方形の色鮮やかなリキシャの絵を1日2枚程度描く。「30年前は市内に約500人いた画家も今は50人程度」という。

 バングラデシュは「自転車タクシー大国」だ。貧困層の足として違法運行も含め23万台が走り、多くに人気俳優の絵が掲げられている。1950年代ごろから広まり、映画スターと共にイスラム教の廟(びょう)や植物、クジャクなどを描くスタイルが定着した。

 ただ、印刷技術の向上で、映画の看板は写真に、リキシャの絵も印刷に変わりつつある。昨年7月の飲食店襲撃テロ後は、不審者に利用させないように黄色一色だけで夜間でも目立つリキシャが増えるなど、街の芸術も転換点にある。

 同国を代表するリキシャ画家のノボ・バドラさん(52)は2010年ごろから、ダッカ市内でリキシャの絵の個展を開いている。実用的な注文はほとんどなく、富裕層の自宅鑑賞用ばかり。「このままでは『失われた芸術』になる」と話し、つぼなどにもリキシャ絵を描き始めたという。バドラさんは「若い世代はリキシャの絵に関心がなく、やむを得ない。芸術作品として海外に輸出することで、伝統を守りたい」と訴えた。(ダッカ共同)

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