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3月14日のまにら新聞から

世代を超えた理想像 サロンガ氏死去

[ 710字|2016.3.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 元上院議長のホビト・サロンガ氏が3月10日に亡くなった。誰もに尊敬される政治家であり、愛国者でもあった彼の人生は栄光と献身に満ちていた。歴史に名前が刻まれるに値する実績を残した人物だ。

 優秀な弁護士でもあった。最高裁は「知性的な指導者であると同時に、わが国のすべての弁護士にとって『世代を超えた理想像』だった」と功績をたたえた。

 同氏は1920年、現在の首都圏パシッグ市に生まれた。幼少期は露天商などをして家族を支えた。フィリピン大学を卒業後、44年に司法試験に合格。その後、米ハーバード大学で修士号、エール大学で博士号を取得した。65年、リサール州選出の下院議員となり、政治家としての人生がスタート。87〜91年まで上院議長を務めた。

 マルコス独裁政権を批判する急先鋒(せんぽう)の役割をつとめた。暴政に権利を踏みにじられた人民のために立ち上がり、71年にキアポ教会前のミランダ広場で起きた爆破事件では重傷を負った。エドサ革命後、マルコス家の不正蓄財回収を担当する大統領府行政規律委員会(PCGG)の初代委員長に就任。比米基地貸与協定延長を否決した当時、上院議長を務めていた。

92年に大統領選に出馬したが大敗を喫した。市民団体との親密な関係を批判されたこともあった。2007年、長年の政治活動を評価され、マグサイサイ賞を受賞した。

 サロンガ氏は生前、「子どもや孫、次世代のために自身の才能と財産、時には命でさえ犠牲にすることを、われわれは常に覚悟しなければならない」と語っていた。私たちは、自由の獲得に貢献し、この国の発展に人生をささげた彼の言葉を忘れてはならない。 (13日・インクワイアラー)

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