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3月14日のまにら新聞から

実効性のある規制強化を 資金洗浄疑惑

[ 730字|2016.3.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 選挙期間中の真っただ中に上院は独自調査の実施を決めた。残す国会の会期は4カ月を切っているにもかかわらずだ。銀行とカジノ産業に対する資金洗浄について審議するという。

 バングラデシュにある銀行口座にハッカーが侵入し、違法に取得された資金が比の銀行口座に移されたとの報道を受け、複数の国が捜査に乗り出した。資金はその後、比国内のカジノや金融機関を通じて海外の口座に再移転された。

 資金洗浄防止委員会は不法行為に関わった疑惑のある6人に対して調査を進めている。その1人は比拡大商銀大手のリサール商業銀行(RCBC)の女性支店長だ。彼女は不正行為ではないと主張、取引はロレンソ・タン頭取の許可を得ていたと証言。しかしタン頭取は「あからさまな虚言」と関与を否定している。女性支店長は日本行きの航空便に乗ろうとしたが出国を止められた。

 選挙に出馬している議員にとってみれば、売名の舞台になることは確実だ。しかし、調査が実効性のある規制強化につながるかどうかは別の話である。問題は国会会期だけではない。資金洗浄防止法強化の必要性が長く叫ばれてきたにもかかわらず、国会議員は無視し続けてきた。

 国際機関から圧力を受けた結果、しぶしぶ何度か法改正がなされた。しかし、その内容は、牙を抜かれた実効性のない規制にとどまっている。汚職やテロに関わる取引は規制の対象になったが、脱税は含まれていない。カジノ産業は投資促進を表面上の目的に掲げ、規制の網から逃れている。

 議員の多くが資金洗浄に関わっているため、「政治家の保身」が規制の足かせになっているとの嘲笑を誘う批判もある。週明けに始まる上院調査がこの嘆かわしい現状を変えることはまずないだろう。(12日・スター)

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