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2月15日のまにら新聞から

政治的殺人の防止徹底を 選挙運動解禁

[ 732字|2016.2.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピンでは、選挙期間中は殺人事件が急増する時期でもある。運動が解禁される2日前、ルソン地方イサベラ州の政治家宅に何者かが爆弾を投げ入れた。オートバイ3台と自動車1台が大破したが、幸いにも負傷者は出なかった。居住者は同州ジョーンズ町の町長選に出馬しており、事件の直前に脅迫メールを受信していたという。同町では、副町長が射殺される事件も発生している。

 ミンダナオ地方サンボアンガ市では、タウィタウィ州の現職町長がオートバイに乗った男に銃撃され、腕、足などを負傷した。この町長自身は選挙に出馬していないが、親族が町長選に出馬している。

 国家警察は、選挙絡みの殺人事件が多発する恐れがある全国各地の市町名を公表した。危険な地域を指定することに、どれほどの効果が期待できるかは定かでない。指定された地域では警備が増強される見通しだが、過去の選挙戦をみれば危険地域が「暴力の温床」となっていることは明らかだ。

 ささやかな給料しかもらえない、3年間の職を得るために、なぜ人はためらうことなく殺人を犯すのか。誰しもが抱く疑問だ。有権者がたった4千人に過ぎない地域の立候補者も殺人に手を出している。選挙絡みの殺人事件続発は、フィリピンの民主主義を汚している。先に行われたミャンマー選挙の方が、よほど安寧だった。

 有力な政党は候補者の模範として、党員に暴力に訴えた選挙運動をやめさせなければならない。政党がこの責務を果たせない場合は、法執行機関が「危険地域リストの公表」以上の措置に踏み切らねばならない。選挙絡みの殺人事件に加担した者は、逮捕されなければならない。暴力の連鎖を止めるには犯罪者に「法の裁きから逃れることはできない」と示すしかない。(9日・スター)

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